2017.09.05 | ニュース

高収入国で全身性エリテマトーデスの子供は97%が10年生存する

時代による変化

高収入国で全身性エリテマトーデスの子供は97%が10年生存するの写真

全身性エリテマトーデス(SLE)は腎臓や心臓、脳などに影響する場合があります。しかしステロイドや免疫抑制薬による治療が進歩し、生存率は改善してきました。時代による生存率の変化が調査されました。

1950年から2016年までのSLEの生存率

ギリシャとアメリカの研究班が、SLEの生存率の時代による変化を調べ、専門誌『Annals of the Rheumatic Diseases』に報告しました。

この研究は、SLEの生存率について1950年から2016年までの研究報告を集め、時代による変化を調べたものです。患者が大人か子供か、地域は高収入国か中/低収入国かを分けて計算しました。

SLE免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患の異常による病気です。免疫は体に侵入した異物を攻撃するしくみですが、何らかの異常により免疫が自分自身の体を攻撃してしまうことがあります。ステロイド薬副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているや免疫抑制薬を使って免疫を弱くすることが治療になります。

 

10年生存率は大人で89%、子供で97%

調査の結果、大人125件・子供51件の研究が見つかりました。報告されていたデータから次の結果が得られました。

成人では、1950年から1990年代半ばの間に高収入国でも中/低収入国でも生存率がしだいに改善し、以後の生存率は横ばいとなった。

大人の患者について、生存率は1950年から1990年代半ばにかけて高収入国でも中/低収入国でもしだいに改善し、以後は横ばいとなっていました。

最近の生存率として次の結果が得られました。

2008年から2016年には、高収入国の成人でプールした推定の5年生存率診断、治療開始から5年経過後に生存している患者の割合。命に関わるがんなどの病気で用いられることが多い数値は0.95、10年生存率は0.89、15年生存率は0.79だった。小児で2008年から2016年の高収入国でプールした推定の5年生存率は0.99、10年生存率は0.97であり、その間に中/低収入国で5年生存率は0.85、10年生存率は0.79だった。

高収入国の生存率の推定値は表のようになりました。

  5年生存率

10年生存率

大人

95%

89%

子供

99%

97%

 

全身性エリテマトーデスは治る?

全身性エリテマトーデスSLE)の生存率の研究を紹介しました。

SLEは現代でも指定難病のひとつとされ、長期間の治療が必要です。しかし免疫抑制薬などが使われるようになり、生存率は改善してきました。治療によって症状がない状態を長く維持できる人もいます。

時代とともに病気のイメージは変わっていきます。最近の実態を数字で知ることも理解の助けになるのではないでしょうか。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Survival in adults and children with systemic lupus erythematosus: a systematic review and Bayesian meta-analysis of studies from 1950 to 2016.

Ann Rheum Dis. 2017 Aug 9. [Epub ahead of print]

[PMID: 28794077]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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