2017.07.15 | ニュース

ロキソニンテープでアナフィラキシーに?「使用上の注意」の考え方

重大な副作用の追記をどう受け止めるか

ロキソニンテープでアナフィラキシーに?「使用上の注意」の考え方の写真

2017年7月4日に、ロキソニン®テープなどの商品名で使われているロキソプロフェンナトリウム水和物の外皮用剤がまれにアナフィラキシーを起こすとして、「重大な副作用」が改訂されました。どのように注意すればいいのでしょうか。

ロキソプロフェンナトリウム水和物(以下ロキソプロフェン)は、痛みや発熱などを抑える作用がある物質です。NSAIDs炎症を抑える薬剤の総称(ただしステロイドを除く)で、鎮痛薬や解熱薬として頻用される。nonsteroidal anti-inflammatory drugsの略(非ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている性消炎鎮痛薬)に分類されます。

ロキソプロフェンは一般的な痛み止めの薬として多くの場面で使われています。医療機関で処方される薬剤のほか、薬局・ドラッグストアなどで処方箋なしで買える薬の中にもロキソプロフェンを有効成分とするものがあります

ロキソプロフェンは、ロキソニン®などの商品名で、さまざまな剤型の薬剤に使われています。

錠剤・細粒剤・内服液については、すでに薬剤の取扱説明書にあたる添付文書の中で「ショック十分な血流が保てず、全身の臓器に十分な酸素や栄養が届かなくなってしまった危険な状態。全身の臓器がダメージを受け、すぐに治療を行わないと命に関わるアナフィラキシー様症状」が「重大な副作用」に挙げられています。

今回の改訂は、ロキソプロフェンを使用したパップ剤、テープ剤、ゲル剤、スプレー剤に関するものです。

これらの外用剤は、通常は有効成分が貼ったり塗ったりした部分に分布して働くため、全身の副作用が現れることは非常にまれと考えられます。しかし、完全に無視することはできません。今回の改訂では外用剤による副作用が追記されています。

 

ロキソプロフェンの外皮用剤の添付文書に、新しく「重大な副作用」として「ショック、アナフィラキシー」の項目が追記されました。

アナフィラキシーは急激なアレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態反応の一種です。特定の物質が体に入った時に、蕁麻疹じんましん)などの症状が現れます。症状のひとつとして、のどの奥にある空気の通り道が腫れて狭くなり(喉頭浮腫体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じる)、呼吸困難になったり、ショック状態を引き起こしたりする場合があります。ショックとは血圧が著しく下がるなどを特徴として全身の血流に問題が起こっている状態のことで、命に関わります。

 

ロキソプロフェン外皮用剤を使用中に、万一皮膚のかゆみ・赤み息苦しさを感じた時には、すぐに使用をやめ、医療機関で相談してください。

ただし実際には命に関わるほどの深刻な副作用はきわめてまれと考えられます。今回の改訂指示にあたっても、国内で発生した、ロキソプロフェン外皮用剤の使用と因果関係が否定できない2例などが理由とされましたが、いずれも死亡には至っていません。

 

もし深刻な副作用が現れても対処できるようにしておくことは大切ですが、前提として、医薬品は期待される効果があって使用されるものです。副作用を恐れて必要な薬まで避けてしまうことは行き過ぎかもしれません。

前述のとおり、今回改訂された外皮用剤のほかにもロキソプロフェンの内服薬飲み薬のことについてはすでにアナフィラキシー様症状の副作用が指摘されています。また、まれにアナフィラキシーを起こすという点はロキソプロフェン以外の多くの薬剤にも共通しています。考え方としては「どんな薬でもアレルギー反応を引き起こすことはありえる」と思っていいでしょう。

効果が期待できないのに薬剤を使用することは避けるべきです。しかし実際にはロキソプロフェンは日常的に使用され、効果を発揮しています。その中で重い副作用が現れる場合はまれです。

副作用が「あるから使わない」という二者択一の思考ではなく、程度を考えて、万一の場合には備えたうえで効果を最大限に活用できるよう使うのが合理的な受け止め方と言えるでしょう。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

独立行政法人 医薬品医療機器総合機構, ロキソプロフェンナトリウム水和物(外皮用剤)(医療用医薬品)の「使用上の注意」の改訂について

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]