2016.12.28 | ニュース

アメリカでは承認された「震え」の治療、改善の反面に副作用も

76人の試験から

from The New England journal of medicine

アメリカでは承認された「震え」の治療、改善の反面に副作用もの写真

手の震えはパーキンソン病などでも現れますが、原因不明の場合もあります。症状が重い場合は食事や字を書くなどの動作がしにくくなります。治療として超音波を使って脳を手術する方法が試されました。

原因不明の震え(本態性振戦)に対して超音波を使った脳手術を試した研究を紹介します。

この研究では、MRガイド下経頭蓋集束超音波治療の効果と安全性が検討されています。

脳の中でも視床(ししょう)という部分は、体をなめらかに動かす機能に関わっています。ここで試された治療では、超音波を利用して視床の一部の組織を微量に破壊します。頭の外から超音波を脳まで届かせることができるので、頭を開く手術はしません。正確に狙いをつけるために脳のMRI磁力(電磁波)を用いて、脳や内臓、筋肉、骨などの組織を詳しく調べる検査で場所を決めます(MRガイド)。

中等度から重度の本態性振戦があり、2種類以上の薬を試しても効果が現れなかった人76人が対象とされました。

対象者はランダムに、超音波手術をするグループ56人と、偽の超音波手術をするグループ20人に分けられました。

 

治療から次の結果が得られました。

手の振戦スコアは、偽治療のあと(ベースラインの16.0から3か月時点で15.8)に比べて集束超音波視床手術のあとで改善した(ベースラインの18.1から3か月時点で9.6)。平均値の変化において群間の差は8.3ポイント(95%信頼区間5.9-10.7、P<0.001)だった。視床手術群の改善は12か月時点でも維持されていた(ベースラインからの変化7.2ポイント、95%信頼区間6.1-8.3)。

治療から3か月後に、超音波手術をしたグループでは、震えの症状を判定するスコアが平均18.1から9.6に改善しました(数字が大きいほうが重症、最大32)。治療から12か月後にも改善が見られました。

副作用について次の結果がありました。

視床手術群で起こった有害事象として、歩行障害が患者の36%に、知覚異常または感覚鈍麻が38%に起こった。12か月時点でも有害事象のうち歩行障害は患者の9%に、近く以上または感覚鈍麻は14%に持続していた。

副作用の可能性があることとして、36%の人に歩行障害が現れ、9%の人では治療から12か月後にも歩行障害が続いていました。

 

超音波手術の効果を示す結果が報告されました。ここで試された治療用の機器は、2016年7月11日に米食品医薬品局(FDA)から承認されています。日本ではまだ承認されていません。

報告では手の震えが改善したとされる一方で、歩行障害など副作用が疑われる結果もありました。この治療法が今後広まっていくかどうかは、今後の実績と評判によります。

手が震えて食事もしにくくなったとき、この治療を使ってみたいと思いますか?

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

A Randomized Trial of Focused Ultrasound Thalamotomy for Essential Tremor.

N Engl J Med. 2016 Aug 25.

[PMID: 27557301]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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