2016.12.05 | ニュース

高血圧の薬でうつ病・双極性障害による入院が増える?14万人のデータで検証

スコットランドの統計から
from Hypertension (Dallas, Tex. : 1979)
高血圧の薬でうつ病・双極性障害による入院が増える?14万人のデータで検証の写真
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高血圧の治療は脳出血などの予防のために重要とされる一方、血圧が下がりすぎるとふらつきなどの副作用が現れます。統計データによる研究から、ある種類の薬を飲んでいた人でうつ病または双極性障害が多かったことが報告されました。

イギリス・スコットランドの研究班が、高血圧治療薬の種類と気分障害の関係についての研究を、高血圧専門誌『Hypertension』に報告しました。

スコットランドの2か所の病院による入院患者の統計データを参照し、40歳から80歳で1種類だけの薬による服薬治療を開始した人を対象として統計解析が行われました。

対象者は使った高血圧治療薬によって5グループに分けられました。

  • ACE阻害薬またはARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)を使った人
  • β遮断薬を使った人
  • カルシウム拮抗薬を使った人
  • サイアザイド系利尿薬を使った人
  • 以上4種類の高血圧治療薬を使わなかった人

対象者の中で、うつ病または双極性障害躁うつ病)の気分障害による入院の頻度を比較しました。

 

次の結果が得られました。

ACE阻害薬またはARBを服用中の患者は最も気分障害による入院のリスクが低かった。このグループに比べて、β遮断薬服用中の患者(ハザード比2.11、95%信頼区間1.12-3.98、P=0.02)、カルシウム拮抗薬服用中の患者(2.28、95%信頼区間1.13-4.58、P=0.02)はより高いリスクを示し、高血圧治療薬なしの患者(1.63、95%信頼区間0.94-2.82、P=0.08)、サイアザイド系利尿薬(1.56、95%信頼区間0.65-3.73、P=0.32)には有意差がなかった。

高血圧治療薬を使わなかった人、サイアザイド系利尿薬を使った人、ACE阻害薬またはARBを使った人には差がありませんでしたが、β遮断薬を使った人、カルシウム拮抗薬を使った人では気分障害による入院が多くなっていました

高血圧治療薬の種類による違いが示されました。種類によって違う副作用が影響していたのかもしれません。

ただし、これらの薬はそれぞれ患者の状態などに応じて使い分けられるものなので、うつ病などになりやすい状態の人で特定の薬が使われやすかったなど、副作用以外の要因が関係していた可能性も考えられます。

名前が挙がった種類の薬と、ほかに知られている副作用の例をいくつか挙げます。

  • ACE阻害薬
    • テモカプリル(商品名エースコール)、 イミダプリル(商品名タナトリル)、エナラプリル(商品名レニベース)など
    • 副作用に空咳、めまい、頭痛、不眠、眠気など
  • ARB
    • ロサルタン(商品名ニューロタン)、カンデサルタン(商品名ブロプレス)、オルメサルタン(商品名オルメテック)など
    • 副作用にめまい、ふらつき、動悸など
  • β遮断薬
    • プロプラノロール(商品名インデラル)、アテノロール(商品名テノーミン)、 ビソプロロール(商品名メインテート)など
    • 副作用に呼吸困難、吐き気、めまい、頭痛、不眠、眠気など
  • カルシウム拮抗薬
    • アムロジピン(商品名アムロジン、ノルバスク)、ニフェジピン(商品名アダラート)など
    • 副作用にめまい、ふらつき、頭痛、眠気、むくみ、ほてりなど
    • グレープフルーツジュースと一緒に飲んではいけない
  • サイアザイド系利尿薬
    • トリクロルメチアジド(商品名フルイトラン)など
    • 副作用にめまい、頭痛、低ナトリウム血症による食欲不振・吐き気など

どんな薬にも副作用はあります。有益な効果が得られる一方で、中には少数ですが、副作用が出てしまう人もいます。

高血圧の治療は大切ですが、食事や生活習慣の改善とともに薬をどう使うかは、副作用も考えに入れて主治医とよく相談してください。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Monotherapy With Major Antihypertensive Drug Classes and Risk of Hospital Admissions for MoodDisorders.

Hypertension. 2016 Nov.

[PMID: 27733585]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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