2016.09.11 | ニュース

勘違いしてるアメリカ人激増中!グルテンフリー食は何に効く?

統計からセリアック病について調査
from JAMA internal medicine
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(C) minoandriani - iStock

パン、うどん、天ぷら、パスタ、ケーキがどれも食べられない人以外は読まないでください。アメリカで健康上の必要がないのに食事制限をしている人の調査が行われ、特定のパターンが約4年で3倍以上に増えていたことが報告されました。

セリアック病の食事療法について調べた研究を紹介します。アメリカのニュージャージー医科大学の研究班が、専門誌『JAMA Internal Medicine』で報告しました。

この研究は2点に注目しています。

 

セリアック病は、小麦粉を含む食品などにより腸に過敏反応が起こり、下痢や貧血などが引き起こされる病気です。

小麦粉などに含まれるグルテンが過敏反応の原因です。治療には、食事からグルテンをまったくなくす方法があります。つまり、グルテンを含むパンやパスタなどをまったく食べないということです。この方法はグルテンフリー食(gluten-free diet)と呼ばれます。

グルテンフリー食はとても厳しい生活制限ですが、セリアック病はそれ以上に困る病気だと言えます。

 

研究班は、アメリカ全国で2009年から2014年にかけて行われた大規模健康調査のデータを解析しました。

調査対象として、セリアック病の血液検査を受けていた22,278人のデータが使われました。

集計の結果、セリアック病がある人は2009年から2010年には対象者の0.7%でしたが、2013年から2014年には0.58%でした。全体として統計的に変化があるとは言えませんでした。

対象者のうち男性に限ると、セリアック病が減る傾向があり、2013年から2014年には対象者の0.22%だけでした。

 

一方、セリアック病と診断されたことも、血液検査でセリアック病を疑う結果が出たこともないにもかかわらず、グルテンフリー食を実践している、つまりグルテンを含むパンもパスタもまったく食べない人の数が集計されました。

セリアック病ではないのにグルテンフリー食をしている人は、2009年から2010年には対象者の0.52%でしたが、2013年から2014年には1.69%に増えていました。

 

アメリカでセリアック病は増えていないにもかかわらず、セリアック病ではない人の間でグルテンフリー食をする人が急増しているという報告でした。

アメリカ人の食事からパンもパスタもすべて抜くのはかなり難しそうですが、グルテンフリーの製品はスーパーなどで手軽に買えるようになってきているので、勘違いした人がいると行動に現れやすくなったのかもしれません。

 

グルテンフリー食はセリアック病の治療として知られています。

グルテンフリー食の狙いから言って、パンやパスタをときどき食べる中にグルテンフリー製品を混ぜても食事療法とは言えないと思われます。あくまでグルテンをすべての食事からなくすのが狙いです。

セリアック病は大まかに言って「やせ衰える病気」なので、グルテンフリー食は「太るための食事」とも言えます。

 

日本ではセリアック病はめったにない病気です。

信州大学のチームによる2006年の学会発表(本邦におけるセリアック病の頻度に関する検討)では、5人の例をもとに「0.7%」という数字が出されていますが、別の報告もあります。

国際誌に載った2014年の論文では、対象者470人の中にセリアック病はひとりもいなかったとされています。

 

アメリカでは不要な食事制限をしている人がかなり多いのかもしれません。この報告を知れば、自分はグルテンに気を付けなくてもよかったと気付いて、生活が楽になるかもしれません。

不要な食事制限をしている人、しようかと考えている人に役に立つ報告です。

不要な食事制限をしない人には特に役に立ちません。

いつも下痢や貧血で困っていて、なんとかよくしたいと思いパン、うどん、パスタ、天ぷら、ケーキをすべてグルテンフリー食に置き換え、ほかの食事にもグルテンが入っていないかこまめにチェックしていない、しようかと考えてもいない人には役立ちません。

セリアック病がまれであることから考えると、この記事を読んだ人がはじめて自分のセリアック病に気付き、グルテンフリー食によって回復することはほとんど期待できないでしょう。

むしろこの記事が誤解されてグルテンフリー製品を手に取る人が増えてしまうことがあれば、紹介した報告の趣旨とは逆の効果です。

なので最初に「読まないでください」と書きました。

もちろんダイエットしたい人には何の関係もありません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Time Trends in the Prevalence of Celiac Disease and Gluten-Free Diet in the US Population: Results From the National Health and Nutrition Examination Surveys 2009-2014.

JAMA Intern Med. 2016 Sep 6. [Epub ahead of print]

[PMID: 27598396]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。