2016.08.20 | ニュース

妊娠中の糖尿病、飲み薬は本当にダメ?メトホルミンの副作用と効果の研究

文献の調査から
from Diabetic medicine : a journal of the British Diabetic Association
妊娠中の糖尿病、飲み薬は本当にダメ?メトホルミンの副作用と効果の研究の写真
(C) asife - Fotolia.com

妊娠中の糖尿病は胎児に影響があります。治療には飲み薬を避けて、ホルモン剤であるインスリン注射を使うのが一般的です。しかし、これまでの研究結果を集めたところ、飲み薬のメトホルミンには悪影響を示すデータがなかったことが報告されました。

◆妊娠中の糖尿病とは?

妊娠によって血糖値が上がりやすくなることは多く、妊娠糖尿病と呼ばれる状態が引き起こされます。妊娠糖尿病流産巨大児、新生児低血糖などにつながりやすく、妊娠中に血糖値を正常に保つことが子供のために大切です。

もともと糖尿病があって妊娠した場合(糖尿病合併妊娠)にも同様の問題があります。

食事療法で不十分な場合にインスリンが使われますが、飲み薬は普通は使いません。

 

◆過去の研究結果をまとめ

ここで紹介する研究は、妊娠中の糖尿病に対して、飲み薬のメトホルミンがインスリンに比べて母親と子供に影響するかどうかを過去の研究データから調べたものです。

研究班は、文献データベースを検索して、妊娠中の糖尿病に対してメトホルミンとインスリンを比較した研究を集めました。

 

◆メトホルミンの悪影響は見つからない

見つかった16件の研究データをまとめた結果、メトホルミンを使うことで以下のリスクが少なくなると見られました。

  • 新生児低血糖
  • 在胎不当過大児
  • 妊娠高血圧
  • 妊娠中の母親の体重増加

メトホルミンの副作用について、以下のいずれもメトホルミンを使ってもインスリンに比べて増えていないというデータがありました。

  • 早産
  • 在胎不当過小児
  • 周産期死亡率
  • 帝王切開

研究班は「我々の調査から、メトホルミンは妊娠に対して短期的な有害作用がないこと、新生児期に有益かもしれないことがわかったが、長期フォローアップの情報は限られていた」と述べています。

 

メトホルミンは古くから使われている薬で、この調査でも16件の研究が見つかったように、効果や副作用については歴史の長い経験があります。

メトホルミンは現在(2016年8月)、妊娠中には飲んではいけないと決められています。紹介した論文でも長期的な影響については留保されているとおり、万一の場合がないかは慎重に考えるべきですが、妊娠中の糖尿病による胎児への影響を防ぐ方法がインスリン以外にもできれば、生まれてくる子供の健康につながるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Short- and long-term outcomes of metformin compared with insulin alone in pregnancy: a systematic review and meta-analysis.

Diabet Med. 2016 May 6. [Epub ahead of print]

[PMID: 27150509]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

MEDLEYニュース新着記事