2016.04.04 | コラム

パーキンソン病は遺伝する?家族性パーキンソン病とパーキンソン病の遺伝子治療について解説

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1. パーキンソン病は遺伝する?
2. 遺伝子に対するパーキンソン病の治療とは?

手足が震える、身体のバランスがとりにくくなるといった症状で知られるパーキンソン病。パーキンソン病の5-10%は、遺伝することが知られており、家族性パーキンソン病と呼ばれています。今回、家族性パーキンソン病について解説します。

◆パーキンソン病は遺伝する?

パーキンソン病は、手足が震える、身体のバランスがとりにくくなるなどの症状がみられる病気です。(パーキンソン病の症状や治療方法については、「手が震える、転びやすい・・パーキンソン病の初期症状と治療について解説」をご参照ください。)今回はそのなかでも、パーキンソン病の5-10%程度にみられると言われている家族性遺伝の影響により、血の繋がった家族の中で発生する可能性が高くなる病気の性質。家族性の病気であっても、必ず遺伝するとは限らないパーキンソン病について紹介します。家族性パーキンソン病は、血縁者に発症症状や病気が発生する、または発生し始めること者があるため、遺伝が関与していると言われています。

まず遺伝子の仕組みについて簡単に見ていきましょう。遺伝子には、優性(ある遺伝子を持っていれば、特定の症状を発症するもの)と、劣性(遺伝子を持っていても、特定の症状を生じないもの)があります。家族性パーキンソン病は、後者であると考えられています。

例をあげて説明します。あなたの両親のどちらかが家族性パーキンソン病であり、もう一方の親が家族性パーキンソン病でなかったとします。もう一方の親が家族性パーキンソン病劣性遺伝遺伝の形式の一つ。ペアになっている遺伝子のうち、両方に異常が揃わないと、その病気が発症し得ないような遺伝形式。対義語は常染色体優性遺伝子を持っていなかった場合、子どもが発症する可能性はありません。劣性遺伝子を持っていた場合でも、遺伝する確率は50%です。両親とも家族性パーキンソン病ではなく、劣性遺伝子を持っている場合に、子どもが家族性パーキンソン病の遺伝子が遺伝する確率は25%です。さらに、ご自身に家族性パーキンソン病の遺伝子があっても、必ずしも(家族性)パーキンソン病が発症するわけではないということにも留意しておきましょう。

さらに、家族性パーキンソン病が遺伝的側面をもつことから、パーキンソン病自体が遺伝子の異常と関連している可能性があると考えられており、さまざまな研究が進められてきました。

以下に、遺伝子に対するパーキンソン病の治療についてご紹介します。

 

◆遺伝子に対するパーキンソン病の治療とは?

パーキンソン病の治療は、症状をコントロールする治療法は数多くみられていますが、その治療法は未だ確立されていません。また、パーキンソン病の原因となる遺伝子は、一つの遺伝子の異常だけでなく、いくつかの遺伝子異常によって、発症する可能性も考えられていますが、その解明も検証段階です。

今回、パーキンソン病の遺伝に対する治療に着目し、どのような治療が行われる可能性があるかについて解説します。

  • 芳香族アミノ酸タンパク質を構成する、より小さな物質。20種類のアミノ酸が鎖状につながることで、さまざまなタンパク質が作られている脱炭素酵素体内で起こる化学反応を助け、速やかに反応が進むようにする物質(AADC)の利用
    パーキンソン病は、脳内のドーパミンが不足することによって生じる病気であることが知られています。パーキンソン病の治療薬として、脳内で不足しているドーパミンを補充するレポドパ(L-ドーパ)が広く用いられています。レポドパをドーパミンに変換するには、変換を促進する酵素の働きが重要になります。これが、芳香族アミノ酸脱炭素酵素(AADC)です。遺伝子治療において、AADCの遺伝子を脳に組み込み、酵素がより働きやすくするための遺伝子治療があります。
     
  • アデノ随伴ウイルス様々な病気の原因となる病原体の一つ。細菌とは別物であり、抗菌薬は無効である(AAV)ベクターの使用
    現在、パーキンソン病の原因と考えられている遺伝子が見つかっています。その遺伝子に、AAVベクターを組み込み、ドーパミンを合成する酵素の遺伝子を線条体(パーキンソン病は、線条体の黒質が変形することで起きる)に導入します。これによって、パーキンソン病の方の動きの遅さや筋肉の硬さ、手足の震えが改善したという報告も得られています。

 

パーキンソン病の遺伝子治療は、まだ研究段階ではありますが、ここ10年でこれまで知られていなかった知見が報告され始めています。原因となる遺伝子の解明、その治療方法の確立、さらには予防といったパーキンソン病全体の治療への糸口となるかもしれません。

 

執筆者

NK

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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