2016.03.27 | ニュース

膝が痛い、股関節が痛い、どの薬が効く?変形性膝関節症、変形性股関節症の痛みを抑える効果を比較

文献74件の調査から

from Lancet (London, England)

膝が痛い、股関節が痛い、どの薬が効く?変形性膝関節症、変形性股関節症の痛みを抑える効果を比較の写真

膝関節や股関節に起こりやすい変形性関節症は、長く続く痛みの症状があります。代表的な痛み止めの薬の効果について、これまで多数報告されてきたデータをまとめ、薬の種類ごとの効果を比較した研究を紹介します。

◆薬の効果を比較

研究班は、過去の研究の中から、変形性関節症の痛みに対して、対象となる患者の治療法をランダムに分ける方法で薬の効果を調べたものを集めました。

NSAIDs炎症を抑える薬剤の総称(ただしステロイドを除く)で、鎮痛薬や解熱薬として頻用される。nonsteroidal anti-inflammatory drugsの略(非ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられている性消炎鎮痛薬)に分類されるもの、アセトアミノフェン、偽薬を使った研究を対象としました。

見つかった74件の研究から、対象者合計58,556人のデータが得られました。統計解析により、治療法による効果の違いが検討されました。

 

◆ジクロフェナク(商品名ボルタレンなど)ほかNSAIDsが有効

解析から次の結果が得られました。

すべての製剤が、用量によらず、偽薬に比べて痛みの症状の点推定量を改善した。6種類の介入(ジクロフェナク150mg/日、エトリコキシブ30mg/日、60mg/日、90mg/日、ロフェコキシブ25mg/日、50mg/日)について、痛みを減らす効果が偽薬との差であらかじめ設定した臨床的に意義のある最小効果量(効果量-0.37)に届くまたは超える確率が95%以上だった。承認された日毎最大用量による比較では、ジクロフェナク150mg/日(効果量-0.57、95%信用区間-0.69から-0.46)とエトリコキシブ60mg/日(効果量-0.58、-0·73から-0·43)が最良の介入である確率が最も高く、臨床的に意義のある最小差に届く確率はともに100%だった。

ある水準以上の効果がある見込みが強いと見られた治療は、ジクロフェナク(用量1日あたり150mg)、エトリコキシブ(30mg、60mg、または90mg)、ロフェコキシブ(25mgまたは50mg)でした。その中ではジクロフェナク1日150mgまたはエトリコキシブ1日60mgが最も効果がありそうだという結果でした。

 

NSAIDsに分類される薬のうち、ジクロフェナク、エトリコキシブ、ロフェコキシブを支持するデータが見つかりました。

ただし、このうち日本で通常処方されているのはジクロフェナク(商品名ボルタレンなど)だけで、ジクロフェナク1日150mgは添付文書に記載された用量を上回っています。これらのNSAIDsには消化器症状などの副作用もあり、効果とのバランスを考えて使うことが必要です。

関節の痛みを抑える治療を選ぶとき、この結果が参考にできるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Effectiveness of non-steroidal anti-inflammatory drugs for the treatment of pain in knee and hip osteoarthritis: a network meta-analysis.

Lancet. 2016 Mar 17. [Epub ahead of print]

[PMID: 26997557]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。 [執筆者一覧]