2016.03.16 | コラム

姿勢が悪いから腰痛になりやすい、の「姿勢が悪い」ってどんな姿勢?

姿勢が悪いから腰痛になりやすい、の「姿勢が悪い」ってどんな姿勢?の写真
1.その腰痛の原因は姿勢?どんな姿勢が腰に負担がかかるの?
2.悪い姿勢とは?どんな姿勢が良いの?
3.良い姿勢をサポートする方法は?

腰痛は国民病とも言われ、日本人の8割が腰痛を感じたことがあるともいわれています。腰痛の原因は様々ですが、よく原因が分からないものが多いです。よく姿勢が悪いから腰痛になりやすいと言われますが、どんな姿勢のことでしょうか?今回は、腰痛と姿勢の関係について解説します。

◆その腰痛の原因は姿勢?どんな姿勢が腰に負担がかかるの?

腰が痛い…誰しもが一度は腰痛に悩まされたことはあるのではないでしょうか。重い荷物を持ったときや激しいスポーツをした後、ふとした時のぎっくり腰など、痛くなった原因がはっきりとわかるものもありますが、「最近、腰が痛いな…」と、はっきりした原因がわからないものもあると思います。それは、年齢のせいでしょうか?運動不足のせいでしょうか?もしかしたら、それは、普段の姿勢が関係しているかもしれません。

腰痛の原因のひとつとして、普段よくない姿勢を取り続けることが挙げられます。腰の骨は、椎骨背骨(脊椎)を作る骨のうちの一つ一つのこと。24個の椎骨が積み重なって背骨が出来ていると呼ばれる骨がいくつも積み重なってできています。この椎骨は、腰だけでなく、首から腰まで積み重なって繋がっています。このつながった状態は、脊柱とよばれ、一般的には背骨背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれると呼ばれたりします。脊柱は、体の中心を支える柱のような役割をもっています。脊柱は、首から腰までまっすぐ伸びているわけではなく、首、胸、腰の部分がそれぞれ前後に弯曲しており、横から見るとS字のように弯曲した形をしています。なぜ、脊柱が弯曲しているかというと、弯曲することで脊柱の抵抗力を高めるはたらきがあるためです。脊柱のように3か所弯曲した形になると、まっすぐな脊柱の場合と比べて、抵抗力が10倍になるとも言われています。このように、弯曲することで、体重をしっかりと支えることができるのです。

この脊柱の弯曲は、普段の良くない姿勢を続けることによって過度に弯曲したり、変形したりすることがあります。椎骨と椎骨の間には、椎間板脊柱(背骨)の椎骨と椎骨の間にあり、衝撃を緩和するクッションの役割をもった構造物と呼ばれるクッションがあります。腰の骨にかかる体重は、この椎間板が分散しています。椎間板は水分を多く含むクッションで、体重がかかるとその形が潰れたりゆがん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがあるだりすることで、体重を分散することができます。この負担は姿勢によって大きくかわります。例えば、まっすぐ立っているときの椎間板の負担を100としたときに、以下の姿勢によって、椎間板の負担が変化するという報告があります。(Nachemson AL, Spine, 1976.)。

  • 仰向けに寝ているとき:25
  • 横向きに寝た時:75 
  • 椅子に座っているとき:140
  • お辞儀をした時:150
  • おじぎをして物を持ち上げた時:220
  • 椅子に座って物を持ち上げた時:275

このように、姿勢によって、椎間板にかかる負担は大きくなります。この姿勢をみると、寝ている姿勢が一番椎間板にかかる負担が少ないことがわかります。一方、立っている姿勢よりも、椅子に座っているときの方が椎間板に負担がかかっているため、長時間立ちっぱなしよりも、長時間座りっぱなしの方が、腰に負担がかかることがわかります。さらに、物を持ち上げたときには立っているときの2倍、椅子に座って物を持ち上げた場合には、約2.7倍もの負担が椎間板にかかっています。物を持ち上げるときには、膝をしっかり曲げて足の力を使うことで、腰への負担を軽減できますが、椅子に座った場合には、足の踏ん張りが効かないため、腰にかかる負担が大きくなることが予想されます。このように椎間板に負担がかかる姿勢を続けたり、年齢が進んでくると、徐々に椎間板の厚さが減少し、脊椎背骨のこと。頚椎、胸椎、腰椎に分かれるが変形する場合があり、これが腰痛の原因となることがあります。

また、脊柱は、脊柱についている靭帯骨と骨をつないでいる丈夫な組織。関節を作る役割を果たしているや筋肉によっても支えられています。腰周りの筋肉だけでなく、腹筋やおしりの筋肉、太ももの筋肉も姿勢を保つために重要な働きを持っています。普段姿勢が悪かったり、楽な姿勢を取っていると、これらの筋肉が弛緩した状態になり、脊柱が過度に弯曲し、腰に負担がかかることになります。さらに、筋肉が弛緩した状態の姿勢を取り続けることで、脊柱を支える筋力が弱り、さらに腰に負担がかかります。では、良くない姿勢とはどんな姿勢でしょうか。

 

◆腰にとって悪い姿勢とは?どんな姿勢が良いの?

たとえば、良くない姿勢として、立っている姿勢だと、猫背になり、首が前に出て、お腹が出た姿勢があります。よく見かける姿勢ですが、この姿勢は、腹筋が緩んだ状態で、首と腰の骨が過度に前方に弯曲し、背中は後ろに弯曲した状態であり、腰に大きな負担がかかります。腰や背中の骨が過度に弯曲すると、骨についている筋肉や靭帯が引っ張られ、過緊張になり、腰痛の原因となります。また、座っている姿勢では、椅子に浅く座り、背もたれに寄りかかり、足を投げたしたような座り方をされる方もいるのではないでしょうか。この姿勢は、背中が過度に前方に弯曲し、腰の骨は直線に近い形になります。この姿勢も、一見楽なように見えますが、正常な脊柱の弯曲を妨げるため、腰痛の原因となりえます。

では、どんな姿勢をとると良いのでしょうか。理想的な姿勢として、立っている姿勢では、猫背ではなく胸を張って、お腹を引っ込め、おしりに力を入れた立ち方が良いでしょう。良い姿勢として、背中をのけぞらせるような姿勢をイメージするかもしれませんが、それでは逆に腰に負担がかかってしまいます。イメージしにくい場合には、壁に頭の後、肩、背中、腰、お尻、踵をつけて立ってみるとわかりやすいかもしれません。座っている姿勢では、椅子に深く腰掛け、両足をしっかり床につけます。顎はひき、腰を過度に反らしたり、逆に背もたれに大きくもたれかからないようにします。デスクワークや、パソコン作業をする方は、文書やパソコン画面をよく見ようと、顎が前に出て、猫背になっている場合も多いと思います。始めは、姿勢を持続することが難しいかもしれませんが、時間ごとに姿勢を見直すなど、良い姿勢を維持できるよう心がけましょう。

腰が痛くなってしまったときには、脊椎の過度な弯曲や、それによって過緊張となった筋肉、靭帯を緩めてあげることが必要です。腰の骨の弯曲や、筋肉を緩める姿勢としては、仰向けに寝て、膝を曲げた姿勢が良いとされています。膝の下にクッションを入れても良いでしょう。膝を曲げることで、股関節が曲がり、腰の骨についている筋肉(腸腰筋やハムストリングスなど)が緩み、腰の骨の過度な弯曲が矯正されます。長時間立ったり、座ったりした後などは、このような姿勢をとることで、腰への負担を和らげることができます。

 

◆良い姿勢をサポートする方法は?

姿勢が悪いのは分かっているけどなかなか維持するのが難しい…と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。確かに、姿勢が悪いことが分かっていても、ついつい楽な姿勢を取りがちです。そういった場合には、姿勢をサポートする方法を用いてみるのも良いかもしれません。例えば、座っている時に腰にクッションを置くのもひとつの手です。腰にクッションを置くことで、腰の骨を正しい位置に持ってくることができ、腰の筋肉や靭帯の緊張を和らげ、腰痛を予防できる可能性があります。オフィスの椅子や、長時間ドライブする際の車の座席などに、クッションを用意しておくと良いかもしれません。

また、最近では、腰痛を軽減するように、背もたれが脊柱の形に添って弯曲している椅子や、姿勢をサポートするための椅子の上における補助椅子もあります。一度試してみても良いかもしれません。椅子だけでなく、机の位置も姿勢に関わってきます。机の高さが合っていなかったり、パソコンのモニターの位置が高すぎたり、低すぎたりすると、前かがみの姿勢になり、姿勢が悪くなりがちです。机やパソコンのキーボードの位置は、両腕を前ならえした時に届くくらいの位置にし、パソコンのモニターは、目線の高さに合わせましょう。机の上は、整理整頓し、腰をひねったりかがめたりしなくても作業できるようにしましょう。また、机の下に物を置いている方もいるかと思いますが、そこも整理して足の置く場所を確保し、両足をしっかり床につけるようにしましょう。

 

普段の何気ない姿勢でも、続けていると腰に大きな負担がかかります。普段の姿勢や、環境を見直して、腰痛を予防しましょう。ただし、腰痛には、他の内臓の病気や、腰の病気が隠れている場合もあります。腰痛が続くようでしたら、まずは受診することをおすすめします。

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※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。