2016.03.13 | コラム

バセドウ病で気をつけるべき食事と生活習慣について

バセドウ病で気をつけるべき食事と生活習慣についての写真
1. なぜ「バセドウ病と食事」なのか?
2. バセドウ病と食事は本当に関係するの?
3. バセドウ病で気をつけるべき生活習慣とは?

バセドウ病は、首にある甲状腺の機能が亢進する病気で、首が太くなったり、目が突出するといった症状が見られます。今回は、バセドウ病で気をつけた方が良い食事習慣と生活習慣について解説します。

◆なぜ「バセドウ病と食事」なのか?

バセドウ病は、甲状腺のどぼとけのすぐ下にある、人体で最大の内分泌腺(ホルモンを出す臓器)。甲状腺ホルモンを分泌する(首にある臓器)の機能が亢進する(亢進:過剰に活動した状態)病気です。甲状腺は、代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のことの働きを担っていて、この機能が亢進することで、多量に汗をかいたり、眼球突出(目が飛び出たように見える)が現れたり、甲状腺が腫れることで首が太く見えるといった症状を発症症状や病気が発生する、または発生し始めることします。甲状腺機能が亢進すると、甲状腺から分泌される甲状腺ホルモン全身の代謝を活発にしたり、神経を興奮させたりする働きをもつホルモンが過剰に分泌されることになり、それを抑える必要があります。一方、甲状腺ホルモンはヨウ素(ヨード)と呼ばれる海藻などに含まれる物質がかかわっていて、抗甲状腺薬を使っている人がヨードを多く含む食事を摂ると、バセドウ病に良くないのではないか?といった話が言われ始めました。

ヨードを多く含む食べ物の代表は昆布です。もちろん、その昆布で取った出汁もヨードを含みます。日本人では、昆布の摂取量が他国に比べて非常に多いため、ヨードの摂取量も多いこととなります。

しかしながら、その根拠となっていた研究は、「ヨード摂取量の低い外国での、数少ないまた比較的古いデータである」(バセドウ病治療ガイドライン治療や検査の場面において、医療従事者や患者が、適切な判断や決断を下せるように支援する目的で体系的に作られた文章のこと2011、日本甲状腺学会より引用)とのことから、ヨード摂取量の多い日本では参考にすべきかどうか・・・という議論もされました。また、日本人を対象とした研究では、バセドウ病患者で甲状腺の薬治療を行っている患者に対してヨード制限の食事を行うことが有効であるといった根拠はないとも記載されています。

それでは、バセドウ病では本当に食事に気をつけなくても良いのでしょうか?

 

◆バセドウ病と食事は本当に関係するの?

まず先に結論を言うと、日本甲状腺学会のバセドウ病治療ガイドライン2011には、以下のことが記載されています。

...日本において日常生活で厳密なヨード制限を継続することは困難である。通常の食生活を行っている患者において食事性ヨード摂取の制限を勧める必要はない。

10mgを超すような大量無機ヨードは短期的には甲状腺機能の抑制をもたらす。バセドウ病においても大量ヨード摂取により甲状腺機能の抑制や変動が生じうる。日常生活の中での大量ヨード摂取は、昆布(昆布だし)の常用、根昆布ひたし汁などの飲用、ヨード含有うがい薬の連用、ヨード造影造影剤と呼ばれる注射薬を使用して、そのままでは画像検査で写りにくいものが写るようにすること剤の使用などによって生じる。したがって、バセドウ病治療においても、日常の生活の中で起こりうる大量ヨード摂取に留意し、それによる甲状腺機能への影響の可能性を考慮していくことが求められる。

つまり、抗甲状腺薬の治療中でも、通常の食生活で摂取するくらいの量であれば制限を勧める必要がない、ということです。

そもそも、バセドウ病の患者でヨードが含まれる食事摂取量を制限した方が良いとされていた根拠は、

  • ヨードが足りない地域と補充した地域で、足りない地域の方が抗甲状腺薬の効果が高かった
  • 抗甲状腺薬の使用を中止した後、ヨウ化カリウム(ヨードとカリウムの結合した物質)を使用した人では、バセドウ病の再発率が上がった
  • 抗甲状腺薬を使用した場合、甲状腺内のヨードの量が減り、それがバセドウ病の改善に関係しているかもしれない

などの過去の研究をもとにしたものでした(バセドウ病治療ガイドライン2011、日本甲状腺学会を参照)。しかしながら、前述したように外国では日本と比べてヨードの摂取量が少なく、それを考慮すると、外国の研究をそのまま日本に当てはめられない、そもそも日本ではヨード摂取量を制限することは現実的ではないとという視点から、「制限を勧める必要はない」という見解が得られているようです。また、その裏付けの一つとして、日本で行われた研究で、抗甲状腺薬の初期の治療ではヨード摂取制限を行っても効果に差があるとは言えなかったという結果が得られています。

一方、昆布などのヨード(無機ヨード)を逆に大量に摂取した場合では、甲状腺機能が低下する(亢進を抑えられる)と言われています。「あれ?ヨードをたくさん摂ると良くないのでは・・・」と不思議に感じる方もいると思うのですが、ヨードをたくさん摂取することで、甲状腺ホルモンが作られる過程を邪魔することができ、機能が亢進している状態を抑制するのです。ただし、バセドウ病に対する大量のヨード摂取により、甲状腺機能を抑制するということについて、一定した見解は得られていません。また使用中、使用中止後の副作用(エスケープと呼ばれます)の問題も報告されています。そのため、大量のヨード摂取は甲状腺機能への影響を考慮するべきであるという見解が、日本甲状腺学会のガイドラインの記載されている理由になります。今後の検証が待たれています。


バセドウ病で気をつけるべき生活習慣とは?

バセドウ病の患者さんが食事以外で気をつけるべきことを、以下にいくつか挙げたいと思います。

  • 睡眠時間
  • 運動
  • 痛みや恐怖
  • ストレス

  など

甲状腺機能が亢進していると、生活リズムが崩れるといわれています。特にハイペースになりやすいため、睡眠時間の確保と規則正しい生活ペースを心がけることが勧めされます。また、激しい運動、強い痛みや恐怖感、ストレスを避けることが必要です。

 

今回は、主にバセドウ病と食事の関係について解説してきました。バセドウ病の食事で気をつけるポイントはヨードです。適切な生活習慣の指導を受けるようにしましょう。

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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