2016.03.07 | コラム

多汗、体重減少などの症状をチェック!バセドウ病の検査と診断について解説

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1. バセドウ病を検査する上で重要な症状とは?
2. バセドウ病の検査とは?
3. バセドウ病を確定診断する検査と症状とは?

バセドウ病は自己免疫疾患のひとつで、首にある甲状腺の機能が必要以上に高まってしまう病気です。様々な症状が見られますが、診断を確定するためには検査が必要です。今回は、バセドウ病の検査について解説します。

◆バセドウ病を検査する上で重要な症状とは?

バセドウ病は、自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称(本来は自分を守る免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患システムが、何らかの原因によって自分を攻撃してしまう疾患)で、代謝体内で行われる、物質の合成や分解などの化学反応のことに働く甲状腺のどぼとけのすぐ下にある、人体で最大の内分泌腺(ホルモンを出す臓器)。甲状腺ホルモンを分泌するの機能が亢進します。バセドウ病を診断するためには、症状と検査が必要です。まず症状について説明します。

代謝異常によって起きる主な症状は以下の通りです。

  • 甲状腺の腫れ
  • 眼球突出
  • 頻脈脈が早い状態(100回/分以上とされることが多い)。運動や緊張が原因の、病的でないものも含まれる、息切れ、動悸心臓や太い動脈の脈拍を自覚すること。精神的な緊張や運動だけでなく、ホルモンバランスの異常や貧血など、様々な病気の症状として起こる
  • いらつき
  • 多汗
  • 体重減少

これらの症状は診断の参考になりますが、加えて検査を行う必要があります。どのような検査を行う必要があるのでしょうか。

 

◆バセドウ病の検査とは?

バセドウ病では、甲状腺ホルモン全身の代謝を活発にしたり、神経を興奮させたりする働きをもつホルモンが多く分泌されてしまいます。それに関連して、さらに他の検査値にも影響が出ます。代表的な検査は、次の通りです。

  • 血液検査
  • 頸部超音波検査空気の細かな振動である超音波を使って、首の前方にある甲状腺の形状や状態を調べる検査
  • シンチグラフィ放射線を出す物質を使って、臓器の機能や、病気の影響が体のどの部分に起こっているかを確認する検査

①血液検査

甲状腺ホルモンが多量に分泌されるため、サイロキシン全身の代謝を活発にしたり、神経を興奮させたりする働きをもつホルモン(TSH、甲状腺ホルモンの一種)の値である遊離T4、遊離T3という値が著しく高くなります。一方、甲状腺に「ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるを出して!」と指令を出す甲状腺刺激ホルモンの濃度は低下します。

②頸部超音波検査

超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができるの中には、通常の超音波断層法とカラードプラー法があります。バセドウ病の場合、超音波断層法で大きく腫れた甲状腺を見ることができます。また、甲状腺の内部にある血管が拡張している様子も見ることができます。カラードプラー法では、甲状腺内の血管が増えていることを反映するように血流の増加が見られます。

③シンチグラフィ

シンチグラフィは、体内に入れた物質(放射性同位体)から放出される放射線を画像として読み取ることで、どの程度臓器にその物質が取り込まれているかを観察する検査方法です。甲状腺の場合は、放射性ヨード(123I)を体内に入れ、ヨードが甲状腺に吸収される割合(摂取率)を測定します。画像上では、摂取率が高くなると甲状腺の輪郭がはっきりとわかります。

ここまで、バセドウ病を診断する上で必要な検査と症状について説明してきました。最後に、これらの検査値と症状がどのような基準で用いられ、診断に至るのかを解説します。

 

◆バセドウ病を確定診断する検査と症状とは?

バセドウ病の診断は、バセドウ病の診断ガイドライン(日本甲状腺学会)において、以下のような基準で行うことが推奨されています。

  • 臨床所見検査や診察から分かる情報のこと
    1.頻脈、体重減少、手指振戦、発汗増加等の甲状腺中毒症所見
    2.びまん性甲状腺腫
    3.眼球突出または特有の眼症状

  • 検査所見
    1.遊離T4、遊離T3のいずれか一方または両方高値
    2.TSH低値(0.1μU/ml以下)
    3.抗TSH受容体抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりする(TRAb, TBII)陽性、または刺激抗体(TSAb)陽性
    4.放射性ヨード(またはテクネシウム)甲状腺摂取率高値、シンチグラフィでびまん性

【付記】

  • コレステロールヒトの全ての細胞の膜を作るのに必要な脂質。LDLコレステロールとHDLコレステロールがあり、前者は動脈硬化などの原因となる低値、アルカリフォスターゼ高値を示すことが多い。
  • 遊離T4正常で遊離T3のみが高値の場合が稀にある。
  • 眼症状がありTRAbまたはTSAb陽性であるが、遊離T4およびTSHが正常の例はeuthyroid Graves' diseaseまたはeuthyroid ophthalmopathyといわれる。
  • 高齢者の場合、臨床症状が乏しく、甲状腺腫が明らかでないことが多いので注意をする。小児では学力低下、身長促進、落ち着きの無さ等を認める。
  • 遊離T3(pg/ml)/遊離T4(ng/dl) 比は無痛性甲状腺炎の除外に参考となる。
  • 甲状腺血流測定・尿中ヨウ素の測定が無痛性甲状腺炎との鑑別似た別の病気と区別すること。また、その病気以外に可能性のある病気そのもののことに有用である。

少し簡単に説明しますと、

  • 症状
    • 頻脈、体重減少、手指の震え、多汗
    • 甲状腺の腫れ
    • 眼球突出などの眼の症状
  • 検査値
    • サイロキシンの値が高い
    • 甲状腺刺激ホルモンの値が低い
    • 甲状腺刺激ホルモンがくっつく甲状腺の受容体に、別の物質がくっついてしまい甲状腺刺激ホルモンがくっつくことができない状態
    • 甲状腺の放射性ヨード摂取率が高い

といったこれらの症状、検査が診断の基準になります。

バセドウ病の明確な診断は、臨床所見のなかで1つ以上に当てはまり、検査所見の4つすべてを持っている場合に判断されます。確からしいバセドウ病は、臨床所見のうち1つ以上に当てはまり、検査所見の1、2、3を持っている場合に、バセドウ病の疑いは、臨床所見のうち1つ以上に当てはまり、検査所見の1と2を持っていて、かつ遊離T4、遊離T3の値が高い状態が3ヶ月以上続く場合に、それぞれそう判断されます。

 

今回は、主にバセドウ病の検査について説明し、どのような症状と検査で診断に至るかを解説しました。検査の内容や意味を適切に知っておくことが大事です。

執筆者

Shuhei Fujimoto

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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