2016.03.25 | コラム

脳出血はなぜ起きる!?原因・症状・治療についての解説

脳出血はなぜ起きる!?原因・症状・治療についての解説の写真
(C) Kirsty Pargeter - Fotolia.com

この記事のポイント

1.脳出血とくも膜下出血の違いは何?脳出血の概要・原因について
2.脳出血ではどんな症状が出る?出血しやすい部位と症状について
3.脳出血になったらどんな治療が行われる?治療についての解説

脳の血管が破れて脳内で出血した状態を脳出血と呼びます。高血圧が主な原因になりやすいですが、血管の先天異常などが原因となり発症する出血もあります。今回は、脳出血の原因・症状・治療について解説していきます。

◆脳出血とくも膜下出血の違いは何?脳出血の概要・原因について

脳を栄養している血管の異常や障害を脳血管障害といいます。その中でも急激(発作性)に脳局所の症状が現れることを脳卒中と呼びます。脳卒中は、脳の血管が詰まる虚血疾患として脳梗塞、脳内に出血をきたす出血性疾患として、脳出血くも膜下出血動静脈奇形からの頭蓋内出血(AVM)の4つに分類されます。脳出血くも膜下出血、動静脈奇形からの頭蓋内出血はいずれも出血性疾患でありますが、発症する原因がそれぞれ異なります。まずは、これらの違いについて解説していきます。

主な原因は高血圧であり、高血圧性脳出血と呼ばれることもあります。脳穿通動脈と呼ばれる細い血管に小さな瘤(コブ)ができ、それが破裂することにより出血すると言われています。高血圧だと、血管に加わる圧が高いために血管が破裂しやすくなる危険があります。

脳は髄膜と呼ばれる膜に覆われており、髄膜は外側から硬膜くも膜軟膜という順になっています。くも膜と軟膜の間はくも膜下腔と呼ばれ、その中に血管が通っています。このくも膜下腔にある血管が、何かしらの原因で異常をきたし出血をした状態をくも膜下出血と呼びます。多くの原因は脳動脈瘤と呼ばれる血管にできたコブが破裂することです。

  • 動静脈奇形からの頭蓋内出血

血管は動脈・静脈・毛細血管に分類されますが、本来動脈は毛細血管を介して静脈へと移行していきます。しかし、先天性異常が原因となり、動脈と静脈が毛細血管を介さずに直接つながってしまう(吻合)ことがあります。これを動静脈奇形と呼びます。動脈と静脈が直接つながってしまったことにより、血管が破裂しやすくなり出血をきたします。先天性異常なため、若い人に起こりやすいです。

その他に、頭部外傷などが原因で頭蓋内に出血をきたすことがあります。急性硬膜外血腫急性硬膜下血腫と呼ばれる状態がそれにあたります。ですが、これらは、頭部に何らかの外力がかかったことで生じているため、脳卒中の中の脳出血の分類には入りません。

 

◆脳出血ではどんな症状が出る?出血しやすい部位と症状について

脳出血は、出血量と障害を受けた部位により症状は様々です。また、右の脳と左の脳どちらの脳で出血が起こったかによっても症状は異なってきます。脳出血では、出血を起こしやすい好発部位があります。ここでは、脳出血の好発部位別に現れやすい症状について解説していきます。

  • 被殻出血

最も発症しやすいタイプの脳出血です。出血をきたした側へ眼球が偏位する共同偏視と呼ばれる症状が現れることがあります。被殻と呼ばれる場所は近くに運動神経の通り道や感覚神経の通り道があるため、出血の量が多いと片麻痺(手足を意識的に動かすことができない)や感覚障害(触れたものの感覚がわからない、自分の手足の位置がわからないなどといった感覚の異常)が現れることもあります。これらの症状は出血をきたした脳と反対側の手足に出現します。

  • 視床出血

視床は感覚神経の通り道であるため、反対側への感覚障害やしびれなどの症状が現れやすいです。また、出血量が多いと運動神経の通り道を圧迫してしまい反対側の片麻痺が現れることもあります。また、視床下部と呼ばれる部分が損傷されると、が下がる眼瞼下垂)、瞳孔が縮んだままになる(縮瞳)といった症状が現れることもあります(ホルネル症候群)。

  • 脳幹(橋)出血

大脳と脊髄の間には生命維持に欠かせない脳幹と呼ばれる場所があります。脳幹は下から延髄・橋・中脳に分けられ、この中の橋という部分に出血が生じやすいと言われています。橋出血では出血量にもよりますが、重度の場合昏睡状態四肢の麻痺縮瞳、呼吸障害などが生じます。

小脳という場所は、運動をコントロールしたり姿勢を調節したりすることに関与しています。そのため、運動麻痺がないにもかかわらず、立てない、ふらついてしまうなどといった症状が現れます。また、めまい嘔気などが現れることもあります。出血の量が多いと前方に位置する脳幹を圧迫してしまい意識障害呼吸障害などを呈することもあります。

  • 皮質下出血

皮質とは、大脳の表面の部分を指します。ここでの出血は、反対側の運動麻痺や感覚障害などを生じます。皮質という部分は高次脳機能と呼ばれる、人間の運動や感覚を除いた機能(思考や記憶、言語など)を司っている場所でもあります。そのため、出血の部位や量によって、高次脳機能の障害が現れることもあります。

 

◆脳出血になったらどんな治療が行われる?治療についての解説

頭蓋の中は脳と髄液と呼ばれる液体で満たされており、容積が決まっています。ここに出血が起こると頭蓋の中は容積が足りなくなり、脳を圧迫してしまいます。特に、脳幹と呼ばれる生命維持の中枢が圧迫を受けると、命に関わるため救命が求められます。このような場合は、頭血腫除去術という外科的治療が行われることもあります。これは頭を開けて出血した血腫を取り除くという治療です。

出血量が外科的治療の必要がない範囲と判断された場合は内科的治療が選択されます。脳出血を発症すると出血した周りに浮腫むくみ)を生じます。この浮腫が大きくなっても脳を圧迫してしまい、症状悪化につながってしまう為、治療では脳浮腫を管理する薬剤が投与されます。また、血圧が高いと再出血する危険もあるため、降圧薬を使用し厳重な血圧管理が行われます。尿が溜まることや体内の水分量が増え続けることでも血圧は上昇してしまうので、水分の摂取した量と排泄した量を管理することも重要となってきます。内科的治療と並行して、症状の改善を目指し早期からのリハビリテーションも行われます。

 

脳出血脳卒中の一つであり、出血性疾患に分類されます。出血性疾患は脳出血以外にくも膜下出血・動静脈奇形からの頭蓋内出血があるが、これらは原因が異なります。脳出血は高血圧が一番の原因となりやすいです。好発部位があり、それぞれ出血量や部位により現れる症状は様々となっています。血圧が上昇しやすい日中や活動時に発症することが多いので、血圧管理は普段からこまめに行うことが重要となってきます。

 

執筆者

中嶋 侑

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


MEDLEYニュース新着記事