2016.02.19 | ニュース

急に片目が見えなくなるのは脳卒中・心筋梗塞の前触れ?網膜中心動脈閉塞症との関連

韓国の全国民を対象に検証
from Ophthalmology
急に片目が見えなくなるのは脳卒中・心筋梗塞の前触れ?網膜中心動脈閉塞症との関連の写真
(C) Brian Jackson - Fotolia.com

網膜中心動脈閉塞症とは、目の中の網膜に栄養を与える動脈が詰まってしまうことです。失明の原因になってしまう場合もあります。網膜中心動脈閉塞症が脳卒中や心筋梗塞のリスクに関係するか調べられました。

◆網膜動脈閉塞症と脳卒中・心筋梗塞の関連

網膜とは眼球の後ろ側にある膜で、目に入ってくる光を脳に伝える役割をはたしています。網膜中心動脈閉塞症により網膜が正常に機能できなくなると、急に片目が見えなくなるなどの症状が起こります。

今回の調査では、2007年から2011年までの韓国全国のデータベースから、網膜中心動脈閉塞症発症した人のデータが集められました。そのうち、網膜中心動脈閉塞症を発症する前と後、365日に脳卒中または心筋梗塞を発症した165人を対象に、脳卒中心筋梗塞がどの時期に多く起こっていたかが調べられました。

 

◆脳卒中・心筋梗塞と関連

次の結果が得られました。

網膜中心動脈閉塞症を発症後1日から30日の脳卒中急性心筋梗塞の発症率比は有意に増加した(14.0; 95% 信頼区間、 8.90-22.00); 発症率比は網膜中心動脈閉塞症を発症後1日から7日の間にピークに達し(44.51; 95% 信頼区間、 27.07-73.20)、発症後30日間リスクの増加が見られた。

網膜中心動脈閉塞症発症後1週間に、脳卒中心筋梗塞はほかの時期の44倍ほどの頻度で起こっていました

 

研究班は「これらの結果は、網膜中心動脈閉塞症が発症した患者はただちに神経学的評価を受け、予防治療を受けることが、死亡と発病を防ぐために必要であることを示唆する」と結論しています。

執筆者

宮本 望都喜

参考文献

Risk and Risk Periods for Stroke and Acute Myocardial Infarction in Patients with Central Retinal Artery Occlusion.

Ophthalmology. 2015 Nov.

[PMID: 26298716]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。