緊張すると下痢に…過敏性腸症候群の新薬「エルキサドリン」の効果、副作用は?

過敏性腸症候群では、ストレスにより下痢や便秘の症状が起こります。下痢が起こるタイプの患者を対象に、新薬エルキサドリン(エルクサドリン)が腹痛と排便の周期を改善する効果が検討されました。
◆下痢型過敏性腸症候群の2,427人が対象
この報告は、下痢型過敏性腸症候群に対するエルキサドリンの効果を調べた2件の研究結果をまとめたものです。
研究班は、2件の研究で計2,427人の成人の下痢型過敏性腸症候群の患者を対象としました。対象者はランダムに、エルキサドリンを1日2回75mgずつ飲むグループ、100mgずつ飲むグループ、偽薬を飲むグループに分けられました。治療期間中に、腹痛と排便回数の改善があったかが調べられました。
◆100mgで半年の効果
次の結果が得られました。
治療開始後1週から26週までで、一次エンドポイントを達成した率はIBS-3001研究でエルキサドリン75mg群のうち23.4%(P=0.11)、100mg群のうち29.3%(P<0.001)、偽薬群で19.0%だった。IBS-3002研究では75mg群30.4%(P=0.001)、100mg群32.7%(P<0.001)、偽薬群20.2%だった。
治療開始から26週までの間で、一定基準以上の改善があった人は、100mgずつ飲んだグループで多くなっていました。75mgずつ飲んだグループでは、2件の研究の一方でだけ、偽薬のグループよりも多く改善が見られました。
副作用については次の結果でした。
偽薬と比べて、最もよく見られた有害事象は吐き気(エルキサドリン75mg群で8.1%、100mg群で7.5%、偽薬群で5.1%)、便秘(75mg群で7.4%、100mg群で8.6%、偽薬群で2.5%)、腹痛(75mg群で5.8%、100mg群で7.2%、偽薬群で4.1%)だった。膵炎が安全性母集団の1,666人中5人(0.3%、75mg群で2人、100mg群で3人)に起こった。
副作用の可能性がある(薬に関係なく起こる
研究班は「エルキサドリンは新しい治療薬であり、男性でも女性でも下痢型過敏性腸症候群の症状を減らし、1日2回100mgの用量を使用した患者で6か月にわたって有効性を保った」と結論しています。
過敏性腸症候群が起こる人は非常に多く、診断されていない人も多いと言われています。治療には食事の改善や漢方のほかさまざまな方法が研究されていますが、新薬にも期待がかかっています。エルキサドリンも将来治療法に加わるかもしれません。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。