乳がんと診断されたら、治療を考える時間はあるのか?
がんは多くの場合、早く診断して早く治療することが良い結果に結び付くと考えられていますが、どの程度の影響があるのでしょうか。アメリカのがん登録データベースを使った検証が行われました。
◆手術を受けた人の死亡率は?
研究班は、アメリカの2種類の
診断から手術までの期間は30日以下、31日から60日、61日から90日、91日から120日、121日から180日の5段階に区切り、死亡率は死因を乳がんに限らず、ほかの死因による死亡も含めて数えました。
◆1段階で死亡率1割程度増
解析から次の結果が得られました。
診断から手術までの間隔が増加するとき、全生存率は患者全体(ハザード比1.09、95%信頼区間1.06-1.13、P<0.001)、
ステージ Iの患者(ハザード比1.13、95%信頼区間1.08-1.18、P<0.001)、ステージIIの患者(ハザード比1.06、95%信頼区間1.01-1.11、P=0.01)でより低かった。人口統計学的要因、
腫瘍 、治療で調整したうえで、間隔が増加するごとに全死因死亡率ハザード比は1.10(95%信頼区間1.07-1.13、P<0.001)であり、ステージI(ハザード比1.16、95%信頼区間1.12-1.21、P<0.001)とステージII(ハザード比1.09、95%信頼区間1.05-1.13、P<0.001)でだけ有意 だった。
2種類のデータベースのどちらを解析しても、診断から手術までの期間が1段階長くなるごとに、死亡率が数%から10%程度大きくなると見られました。特に、がんが比較的早い段階のステージIまたはステージIIのときに、この関連が見られました。
研究班は「手術前の
手術はするなら早いほうが良いのかもしれません。ただし、この研究は、手術をするか、
執筆者
Time to Surgery and Breast Cancer Survival in the United States.
JAMA Oncol. 2015 Dec 10 [Epub ahead of print]
[PMID: 26659430]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。