2015.12.28 | ニュース

前立腺がんのホルモン療法でアルツハイマー病増加

16,888人を分析

from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology

前立腺がんのホルモン療法でアルツハイマー病増加 の写真

前立腺がんでは、性ホルモンのひとつであるアンドロゲンを少なくする治療が行われることがあります。一方、アンドロゲンの低下が認知症に関連するという説もあり、今回の研究では、前立腺がんのホルモン療法と認知症の関連性を検証しました。

◆前立腺がんのホルモン療法の影響は?

前立腺がんの治療法のひとつにアンドロゲン除去療法があります。前立腺がんは、性ホルモンであるアンドロゲンが多いと進行しやすいことが知られており、除去することでその進行を抑えるという理由で行われています。一方、アンドロゲンの低下は認知症と関連するという説があり、検証段階にありました。

今回の研究では、前立腺がんの患者16,888人を対象に、アンドロゲン除去療法とアルツハイマー病との関連性を検証しました。

 

◆アンドロゲン除去療法とアルツハイマー病に関連あり

以下の結果が得られました。

傾向スコアでマッチングした解析(ハザード比1.88、95%信頼区間1.10-3.20、p=0.021)と伝統的な多変量調整Cox回帰分析(ハザード比1.66、95%信頼区間1.05-2.64、p=0.031)の両方で、アンドロゲン除去療法とアルツハイマー病の危険性の間に統計的に有意な関連性を示した。

アンドロゲン除去療法を行っている人は、アルツハイマー病を発症する危険性が1.88倍であるという結果でした。

 

前立腺がんに対して行われている治療法に、アルツハイマー病との関連がもしあれば、治療を行ううえで重要な情報です。前立腺がんにはその他にも治療法がありますので、それぞれのメリット・デメリットについて医師と相談することが大事です。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Androgen Deprivation Therapy and Future Alzheimer's Disease Risk.

J Clin Oncol. 2015 Dec 7

[PMID: 26644522]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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