2016.01.01 | ニュース
ニホンザルはなぜ仲間に毛づくろいをするのか?〔新年企画〕
岡山県で17頭を観察
from Journal of comparative psychology (Washington, D.C. : 1983)

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ニホンザルは毛づくろいでシラミを取り除くことが知られていますが、毛づくろいには社会的な側面があるとも言われています。さらに心理的な側面に注目した研究で、毛づくろいをされる側だけでなく、する側のサルにも起こる変化が観察されました。
◆毛づくろいをすると不安は和らぐのか
研究班は、岡山県の勝山でメスのニホンザル17頭を観察しました。毛づくろいが不安を和らげる効果を検討するため、自分の体を掻く動作を不安の指標として、ほかのサルから毛づくろいを受けたあと、またはほかのサルに毛づくろいをしたあと、相手によって体を掻く動作が減るかどうかを調べました。
◆仲間に毛づくろいをすると不安が和らぐ
次の結果が得られました。
[...]友好関係にある仲間に毛づくろいをしたあとにも、また毛づくろいを受けたあとには友好関係とも関わりなく、個体の不安レベルは減少した。
毛づくろいをする側のサルでは、相手が友好関係にあるとき、不安が和らいでいると見られました。また、毛づくろいを受けるときは、相手が友好関係にあってもなくても、不安が和らぐと見られました。
サルは互いに毛づくろいをすることで、身も心も健康になっているのかもしれません。
執筆者
参考文献
Emotional states after grooming interactions in Japanese macaques (Macaca fuscata).
J Comp Psychol. 2015 Nov
[PMID: 26348969]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。