2015.11.22 | コラム

ジェネリック医薬品における「高い○○」とは?

服用性、使用性などの品質の向上に関して
ジェネリック医薬品における「高い○○」とは?の写真
(C) Andrey Popov - Fotolia.com

最近、コマーシャルなどでジェネリック医薬品の「高い服用性」「高い使用性」というフレーズをよく耳にします。先発医薬品に比べジェネリック医薬品の多くは安い価格で提供されているのに、何が「高い」と言えるのでしょうか。

ジェネリック医薬品は臨床上の効果などは先発医薬品と同等ですが、全てが瓜二つというわけではありません。今回はジェネリック医薬品の「高い○○」と「認められた違い」について考えてみます。

 

◆ 同等でなくてはいけないところと、違ってもよいところ

ジェネリック医薬品は先発医薬品(新薬として最初に開発・承認・発売された薬)と同等の有効性や安全性が厚生労働省に認められた医薬品です。

同等の有効性や安全性を判定するために、生物学的同等性試験という試験が行われています。この試験は臨床試験の代替試験として医薬品の臨床的な同等性を証明するためにヒトで行うものです。また生物学的同等性試験以外にも、主成分の溶出する割合の時間経過を測定し先発医薬品とジェネリック医薬品を比べる溶出試験など、厳格な試験によって同等性が審査され、有効性や安全性が担保されています。

けれども、ジェネリック医薬品が「先発医薬品と100%一緒か?」というとそうではありません。確かに臨床上の有効性や安全性は同等であることは大前提です。しかし主薬の臨床上の有効性・安全性に関わらない製剤の特性には違いがあってもかまわないとされています。この「違い」は服用性、剤形の形状、識別性、添加剤などであり、これらを生かしてジェネリック医薬品ならではの特性を備えた製剤が開発されてきています。

 

◆ 服用性、使用性などを向上させた製剤

「薬の味」を想像すると多くの方が「苦い」というイメージを持つのではないでしょうか?

「良薬口に苦し」とはよく言ったもので、確かに苦味健胃薬などで苦味も含めて効果の一つとしている薬もあります。しかし効果に関係のない苦味は飲みにくくなる(服用性を低下させる)だけでなく、人によっては飲むのをやめてしまうかもしれません。

そこでジェネリック医薬品には苦味を感じにくくする「マスキング技術」を施した製剤が多く存在します。味や香りをつけたり、原薬のいびつさを解消すること(原薬の形がいびつである場合、均一のコーティングが難しくなり苦味があらわれやすくなる場合などがある)で服用性を向上させています。

飲み薬だけでなく、外用剤にも工夫されたものがあります。たとえば点眼薬の容器を工夫することによって、防腐剤であるベンザルコニウム塩化物などの使用を控えた製剤が存在します。近年、点眼薬の防腐剤による角膜障害やアレルギーなどへの影響が懸念されていることへの配慮です。

一方で、先発医薬品にも服用性などを考えた製剤があります。例を挙げると、認知症の治療薬であるアリセプト®(主薬であるドネペジル塩酸塩は非常に苦い薬として知られる)はカラギーナンという海藻(紅藻類)由来の添加剤を加え苦味をマスクしたり、同じ主薬を使ったゼリー剤やドライシロップ剤を発売したりし、服用性の向上などに努めています。またジェネリック医薬品にはない新たな適応症(薬事承認された効果・効能など)を取得するなど、先発医薬品にはやはり独自の高い品質が存在します。

 

ジェネリック医薬品の品質への追求が先発医薬品との良い意味での競争を生み、それが実際に薬を使う患者にとってメリットにつながれば、超高齢化へ突き進む日本において、一つの光明になるのかもしれません。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。