2015.11.21 | コラム

ジェネリック医薬品、なぜ同等といえるのか??

同等の有効性・安全性と「認められた違い」に関して
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近年、よく聞くジェネリック医薬品。新薬として先に世に発売された先発医薬品と有効性などは同等とされています。ではその同等とされる根拠はどこにあるのでしょうか?

◆ ジェネリック医薬品と先発医薬品の同等性を証明する試験とは?

ジェネリック医薬品は先発医薬品(新薬として最初に開発・承認・発売された薬)に対して後発医薬品という呼び名で扱われてきました。先発医薬品の特許が切れた後に発売されることからこの呼び名がつきましたが、現在では欧米と同様に"一般的な"という意味をもつ"ジェネリック"という呼び名が徐々に浸透してきています。

ジェネリック医薬品は先発医薬品と同一の主薬が同一量含有されています。しかし、ジェネリック医薬品がただ同じ主薬を同量含むというだけでは、先発医薬品と同様の有効性や安全性は担保できません。そこでジェネリック医薬品が先発医薬品と同等の有効性や安全性が得られることを証明するための検査が必要となってきます。それが「生物学的同等性試験」という試験です。

飲み薬を例にとって、この試験の一部を紹介します。

  • 先発医薬品の3ロットを対象に溶出試験を行い標準製剤を決定
  • 標準製剤と試験製剤(ジェネリック医薬品)の溶出挙動の類似性を調べる
  • 健康成人志願者を使ってクロスオーバー法による同等性試験を行う
  • ……

このように、同一の主薬を同一量使っていても、同等性を証明するための試験は決して簡単ではありません。特に近年では極めて厳格な試験が行われています。

 

◆ 同等性試験の明確化とガイドライン整備の歴史

ジェネリック医薬品の同等性試験の方法は長い歴史の中で決まってきました。

1980年以前は動物(イヌ、ウサギなど)を対象とした試験が行われていましたが、1980年に抜本的な変更がされ、動物ではなくヒト試験が必要と決められました。しかしこのガイドラインでは一部の場合にイヌ(ビーグル犬)による試験を用いることができる等、不十分な点を残していました。この不十分な点の多くをクリアし、かつ根拠や基準を更に明確化し、規定の追加を行ったものが1997年に出された「後発医薬品の生物学的同等性試験ガイドラインについて」です。

このガイドラインではヒト試験の厳格化(動物試験の原則排除)以外にも、標準製剤(先発医薬品)や試験製剤(ジェネリック医薬品)の規定内容、溶出試験の位置付け、個体変動が大きい場合の立証などに関して、厳密な明文化が行われ、現行のガイドラインの大枠を占めるものになりました。

その後、既に発売されていたジェネリック医薬品の品質再評価も開始されました。

これ以後に出されたジェネリック医薬品に関する主なガイドラインは以下の通りです。

  • 2000年 「含量が異なる経口固形製剤の生物学的同等性試験ガイドラインについて」「経口固形製剤の処方変更の生物学的同等性試験ガイドラインについて」 
  • 2001年 「剤型が異なる製剤の追加のための生物学的同等性ガイドラインについて」
  • 2003年 「局所皮膚適用製剤の後発医薬品のための生物学的同等性試験ガイドラインについて」
  • 2006年 「局所皮膚適用製剤の剤形追加のための生物学的同等性試験ガイドラインについて」
  • 2010年 「局所皮膚適用製剤(半固形製剤及び貼付剤)の処方変更のための生物学的同等性試験ガイドラインについて」

この他、出されたガイドラインに関しても随時改定が行われ、より確実に有効性や安全性を担保できるようになってきています。

 

◆ ジェネリック医薬品には「認められた違い」がある

この様に多くの厳密なガイドラインにより有効性や安全性が先発医薬品と同等であることが証明されて発売されるジェネリック医薬品ですが、「先発医薬品と100%同じ」でないといけないわけではありません。

もちろん有効性や安全性は同等であることが大前提ですが、主薬の臨床上の有効性や安全性に関わらない製剤特性(服用性、識別性、剤形の形状などの違い)は許容されています。すなわちジェネリック医薬品は「認められた違い」をもつ医薬品とも言えるのです。

この「認められた違い」が時々誤解を招きます。ジェネリック医薬品の多くが先発医薬品に比べ安価であるため"安かろう・悪かろう"の不名誉(?)なイメージで見られてしまうことも時折、見受けられます。しかし近年では、「認められた違い」を生かしてコーティングなどにより苦味をより少なくするなど、品質を考慮したジェネリック医薬品の開発が盛んに行われています。

 

日本では超高齢化や医療費高騰を受け、国として今後ますますジェネリック医薬品を推奨していくことが予想されます。先発かジェネリックかを選択するのはあくまでも患者自身ですが、ジェネリック医薬品に対しての正しい認識を持って適切な選択をすることが今後は更に重要となるのではないでしょうか。

執筆者

中澤 巧

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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