インフルエンザ迅速診断キットはどれぐらい信頼できるのか?
インフルエンザを簡単に診断する方法のひとつとして、迅速診断キットが使われています。数分程度で結果が出る特徴がありますが、どの程度信頼できるのでしょうか。過去の研究結果をまとめた2012年の報告を紹介します。
◆培養・PCRを基準に迅速診断キットの精度を評価
患者に
研究班は、データベースから過去の文献を検索し、インフルエンザ迅速診断キットがウイルス培養またはPCRと比べてインフルエンザウイルスの感染を正しく見分けることができるか評価したものを集めました。
◆特異度98%、感度62%
次の結果が得られました。
159件の研究が、26種のインフルエンザ迅速診断試験を評価した。そのうち35%はH1N1パンデミックの時期に行われた。
プールした
感度 は62.3%(95%信頼区間57.9%-66.6%)、特異度 は98.2%(97.5%-98.7%)だった。
159件の研究が見つかり、データを統合したところ、実際にインフルエンザウイルスが感染していたときの62.3%で迅速診断キットが検査陽性を示し、実際にはインフルエンザウイルスが感染していないときの98.2%で迅速診断キットは正しく検査陰性を示しました。
実際にはインフルエンザウイルスが感染していても、迅速診断キットでは4割近くを見逃すという結果でした。
ただし、この研究は多様な結果をまとめたものであり、成人と子どもで、またインフルエンザウイルスがA型かB型かによってもいくらか傾向が違います。どんな人を対象に検査するか、多くの種類がある迅速診断キットのうちどのメーカーのものを使うかなどによって違いが出ることも考えられ、この報告の時点と比べて新しく開発されたキットが高い性能を示す可能性も考えられます。
こうした研究をふまえ、インフルエンザ迅速診断キットは実際の診断の助けとして使われていますが、それだけでは診断能力に限界があると考えられています。
執筆者
Accuracy of rapid influenza diagnostic tests: a meta-analysis.
Ann Intern Med. 2012 Apr 3
[PMID: 22371850]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。