ベンゾジアゼピン系薬剤とアルツハイマー病の関係とは?
アルツハイマー病では脳に特徴的な変化が起こりますが、その原因はわかっていません。背景を探るため、ベンゾジアゼピン系薬剤の使用とアルツハイマー病の関係を調べる研究が行われました。
◆アルツハイマー病患者はベンゾジアゼピンを使っていたか?
ベンゾジアゼピン系薬剤は脳の興奮を抑える作用があり、
研究班は、アルツハイマー病と診断された1,796人の患者と、比較のため性別や年齢の分布が一致するように選ばれた7,184人の対照群で、以前にベンゾジアゼピン系薬剤を使っていたかどうかを調べ、統計解析を行いました。
◆ベンゾジアゼピンを使ったことがある人でアルツハイマー病が多い
次の結果が得られました。
ベンゾジアゼピンを使ったことがあることは、アルツハイマー病のリスク増加と関連していた(調整オッズ比1.51、95%信頼区間1.36-1.69。さらに不安、うつ、不眠の症状で調整してもこの結果は目立って変わることがなく、1.43、1.28-1.60)。
ベンゾジアゼピン系薬剤を使ったことがある人で、アルツハイマー病の
アルツハイマー病の症状として興奮や不眠が現れることがあり、アルツハイマー病と診断される以前からこれらの症状に対してベンゾジアゼピン系薬剤が使われていた可能性も考えられます。そのため、この結果だけで、ベンゾジアゼピン系薬剤がアルツハイマー病を誘発すると結論することはできません。
ベンゾジアゼピン系薬剤の適正使用を検討する研究において、このような観点がひとつの参考になるかもしれません。
執筆者
Benzodiazepine use and risk of Alzheimer's disease: case-control study.
BMJ. 2014 Sep 9
[PMID: 25208536]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。