抗生物質の副作用による難聴を防ぐ、N-アセチルシステイン

アミノグリコシド系抗菌薬は、結核菌や黄色ブドウ球菌などに対して有効ですが、聴力低下などの副作用を起こすことがあります。その副作用をN-アセチルシステインというアミノ酸が防ぐとした複数の研究をもとに、データを統合した結果が報告されました。
◆アミノグリコシド系抗菌薬とN-アセチルシステインを併用
N-アセチルシステインは、騒音性難聴や薬剤による難聴を防ぐとした報告があります。
研究班は、これまでの研究を検索し、アミノグリコシド系
◆対象者の1/3を守る効果
次の結果が得られました。
3件の研究が、アミノグリコシドを使った末期腎不全患者146人において、NACが耳毒性を減らしたことを報告した。4週から6週におけるプールされた耳保護作用の相対リスクは0.14(95%信頼区間0.05-0.45)であり、リスク差は-33.3%(95%信頼区間45.5%-21.2%)だった。
腹痛、吐き気、嘔吐、下痢、関節痛が1.4倍から2.2倍増加した。
アミノグリコシド系抗菌薬の作用・副作用が出やすいと考えられる、末期腎不全の患者を対象とした3件の研究が見つかりました。これらの研究結果を統合したところ、N-アセチルシステインを併用したときのほうが耳毒性が現れることが少なく、その差はアミノグリコシド系抗菌薬を使った対象者全体の1/3程度と見られました。
N-アセチルシステインの副作用として、腹痛や関節痛などが見られました。
アミノグリコシド系抗菌薬は
なお、N-アセチルシステインはサプリメントとして手に入れることもできますが、ここでも報告されている副作用のほか、ほかの薬の働きに影響する可能性もあるため、病気の治療中の方は特に、使用の前に医師や薬剤師にご相談ください。
執筆者
A systematic review and meta-analysis of the efficacy and safety of N-acetylcysteine in preventing aminoglycoside-induced ototoxicity: implications for the treatment of multidrug-resistant TB.
Thorax. 2015 Sep 7 [Epub ahead of print]
[PMID: 26347391]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。