経カテーテル大動脈弁置換術と大動脈弁置換術は術後の成績は変わらず、外科的手術ハイリスク患者について

大動脈弁狭窄症は、心臓と大動脈の間にある大動脈弁が十分開かなくなり、血液を送り出しにくくなる病気です。治療法について、「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」で引用されている2011年の論文を紹介します。
◆カテーテルを用いた大動脈弁置換術群と通常の大動脈弁置換術群を比較
今回の研究は、以下の方法で行われました。
25の施設で、699名のリスクが高い重症の大動脈弁狭窄症患者を、バルーン拡張型ウシ心膜弁を用いて行う経カテーテル大動脈弁置換術(経大腿または経心尖アプローチ)または外科的置換術のいずれかにランダムに割り付けた。
重症の大動脈弁狭窄症患者を、
◆いずれの手術も1年後の死亡率は同等
以下の結果が得られました。
すべての原因による死亡率は、30日時点(p=0.07)では経カテーテル群で3.4%、外科手術群で6.5%であり、1年時点(p=0.44)ではそれぞれ24.2%、26.8%と、経カテーテル群で2.6%少なかった(
非劣性 に対し、95%信頼区間上限3.0%、定義済みの限界値7.5%、p=0.001)。
カテーテルを用いた手術でも、通常の手術でも死亡率に差は見られないという結果でした。
筆者らは、「重症な大動脈弁狭窄症があり高いリスクを持つ患者では、大動脈弁置換術に関する経カテーテルと外科的手技は、周術期のリスクには重要な違いがあるが、1年時点での類似した生存率と関連していた。」と結論づけています。
この結果などを参照し、経カテーテル大動脈弁置換術は「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」においても、今後適用されるであろう術式として紹介されています。
【訂正9/7】この研究は本文中にあるとおり高リスク患者を対象としたものであり、すべての場合に経カテーテル大動脈弁置換術と通常の手術を同等とする内容ではありませんが、誤解を招きうるという指摘があり、題名を下記のとおり訂正しました。
前)経カテーテル大動脈弁置換術と大動脈弁置換術は術後の成績は変わらず
↓
後)経カテーテル大動脈弁置換術と大動脈弁置換術は術後の成績は変わらず、外科的手術ハイリスク患者について
執筆者
Transcatheter versus surgical aortic-valve replacement in high-risk patients.
N Engl J Med. 2011 Jun 9
[PMID: 21639811]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。