2015.08.31 | ニュース

心臓の僧帽弁形成術は弁置換術と比べて僧帽弁閉鎖不全症の生存率を向上する

アメリカの研究チームが409名を分析
from Circulation
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心臓の血液を逆流させない働きを持つ僧帽弁がうまく閉まらず逆流があると、血液がうまく送り出されない心不全に陥ることがあります。「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」で引用された、手術の有効性に関する1995年の論文を紹介します。

◆僧帽弁形成術と僧帽弁置換術で比較

僧帽弁は、心臓の中で血液が逆流しないための働きを持つ弁です。

今回の研究は、僧帽弁が正常に閉まらなくなった状態(僧帽弁閉鎖不全症)の治療として、僧帽弁形成術を行った195名と僧帽弁置換術を行った214名の患者を対象に、左室駆出率(心臓から全身に血液を送り出す機能)、手術による死亡率、10年間の生存率を比較しました。

僧帽弁形成術は、僧帽弁を縫い合わせたりすることで逆流を防ぐ手術です。僧帽弁置換術は、弁自体を人工の弁と取り替える手術です。

 

◆僧帽弁形成術は、長期生存率を改善

検証により、以下の結果が得られました。

僧帽弁形成術後、僧帽弁置換術と比べて、10年後の全生存率は68±6% vs 52±4%(p=.0004)、手術による全死亡率は2.6% vs 10.3%(p=.002)、75歳未満の患者の手術による死亡率は1.3% vs 5.7%(p=.036)、術後10年の長期生存率(手術による生存者)は69±6% vs 58±5%(p=.018)であった。

多変量解析により、全生存率(ハザード比0.39、p=.00001)、手術による死亡率(オッズ比0.27、p=.026)、長期生存率(ハザード比0.44、p=.001)、術後の左室駆出率(p=.001)に対する僧帽弁形成術の独立した有効性が示された。

僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術は、僧帽弁置換術よりも左室駆出率が改善し、手術による死亡率が低く、10年間の生存率に対する効果が大きいという結果でした。

筆者らは、「僧帽弁形成術は、僧帽弁閉鎖不全症の患者の術後アウトカムを有意に改善するものであり、手術の優先的術式とされるべきである。」と述べています。

 

この結果も踏まえて、「弁膜疾患の非薬物治療に関するガイドライン」では、可能である場合は僧帽弁形成術が第一選択となることを記載しています。しかし、技術的にも困難な場合があるなど、条件によって治療法は左右されるため、この結果はあくまで特定の条件のもとに限っての比較と考える必要があるかもしれません。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Valve repair improves the outcome of surgery for mitral regurgitation. A multivariate analysis.

Circulation. 1995 Feb 15

[PMID: 7850937]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。