脂質異常症を治療し脳卒中を予防する、スタチンの効果
脂質異常症(高脂血症)が脳卒中の危険因子になることは以前に紹介しました。今回は、脂質異常症を治療すると脳卒中の予防に有効かどうかを検証し『脳卒中治療ガイドライン2015』で引用されている2004年の論文を紹介します。
◆65のランダム化研究を解析
この研究は以下の方法で行われました。
2002年8月までに公開された、非致死性および致死性の脳卒中と死亡率データが記載されている、脂質を低下する介入のランダム化比較試験に関するすべての論文を系統的に検索した。
脂質異常症の治療とその後の脳卒中および死亡率に関して報告している論文をまとめ、65個の研究、200,607名の対象者のデータを解析しました。
◆スタチンで治療すると脳卒中は4/5に
調査の結果、以下のことを報告しました。
対照の介入と比較して、スタチンを用いた場合の非致死性、致死性の脳卒中のリスク比は0.82(95%信頼区間0.76-0.90)であった。
冠動脈 疾患を合併 している患者では、対照群と比較してスタチン群のリスク比は、0.75(95%信頼区間0.65-0.87)、冠動脈疾患を合併していない患者では0.77(95%信頼区間0.62-0.95)であった。重み付けメタ回帰分析により、脳卒中の減少と
コレステロール 減少の程度との関連よりも、スタチン治療との関連の方がより強いことが示された。
血中のコレステロールを減らす薬であるスタチンを使った治療により、脳卒中の
著者らは、「このメタ解析により、スタチンは冠動脈疾患を合併した患者でもそうでなくても、脳卒中の発症を減らすことが示された」と結論付けています。
この研究と同じように、脂質異常症の治療による効果を検証した論文はいくつか見られ、多くの研究で、効果があることが示されています。 それらの結果に、益と害のバランス、コストなどをふまえて、『脳卒中治療
執筆者
Effects of statins on stroke prevention in patients with and without coronary heart disease: a meta-analysis of randomized controlled trials.
Am J Med. 2004 Oct 15
[PMID: 15465509]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。