2015.08.23 | ニュース

カロリー摂取量が異なると血糖値にどの程度の効果があるか?

2型糖尿病を対象としたランダム化比較試験により検証
from Diabetes care
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糖尿病に対する食事療法として、カロリー制限の有効性について『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン 2013』で記載されています。今回はその根拠のひとつとなる1994年の論文を紹介します。

◆1日あたりの摂取量が400kcalの群と1,000kcalの群にランダムに割り振り

2型糖尿病患者93名を、カロリー摂取量を1日あたり400kcalとした群と1000kcalとした群にランダムに分類し、12週間の介入後、空腹時の血糖を比較しました。

 

◆体重の減少が同等でも、カロリーを制限した方が血糖値は改善

以下のことを報告しました。

体重減少は同等であったにも関わらず、1日1,674kJ(400kcal)の対象の方が、1日あたり4,185kJ(1,000kcal)の対象よりも、体重減少後の空腹時血糖レベルは低く(7.61 vs 10.13mM、p=0.03)、インスリン感受性は高かった(1.79 vs 1.13、p=0.04)。

1日の摂取カロリーが400kcalであった場合でも、1,000kcalであった場合でも、体重の減少量は変わらない一方で、400kcalであった方が空腹時血糖値が改善したという結果でした

筆者らは、「カロリー制限、体重減少量ともに血糖コントロールやインスリン感受性の改善に効果的な独立した因子である」と述べています。

 

1日の摂取カロリーが400kcalはかなり大変です。今回は、12週間と比較的短い期間での介入であったため、カロリー摂取量もかなり制限されていますが、一般的にはその人によって医師から指示がある場合が多いと思います。極度のカロリー制限は身体に悪い可能性もあるので、詳しくは医師にご相談ください。

執筆者

Shuhei Fujimoto

参考文献

Caloric restriction per se is a significant factor in improvements in glycemic control and insulin sensitivity during weight loss in obese NIDDM patients.

Diabetes Care. 1994 Jan

[PMID: 8112186]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。