レジスタンス運動で高血圧は解消できるのか?
高血圧治療ガイドラインでは、血圧を下げるための生活習慣として、30分以上の有酸素運動が推奨されています。今回は、その他の運動の種類として、レジスタンス運動に降圧効果があるか検証した2011年の論文を紹介します。
◆レジスタンス運動の降圧効果について、28件のランダム化比較試験を統合
レジスタンス運動とは、筋肉に負荷がかかる動作を繰り返し行うことです。
この研究では、以前の研究のうち、レジスタンス運動の降圧効果を検証した論文28件、対象者計1,012名についてまとめました。
◆レジスタンス運動は高血圧ではない人にだけ降圧効果あり
以下のことを報告しました。
全体を通して、レジスタンス運動は28つの正常血圧または高血圧予備軍を対象とした研究グループにおいて、
有意 な血圧降下を示した(平均値(信頼限界))(-3.9(-6.4;-1.2)/-3.9(-5.6;-2.2)mmHg)。一方、5つの高血圧を対象とした研究グループではその減少は有意ではなかった-4.1(-0.63;+1.4)/-1.5(-3.4;+0.40)mmHg)。
レジスタンス運動は高血圧ではない人には効果がある一方、高血圧の患者には効果が見られないという結果でした。
この結果から考えると、すでに高血圧と診断された人が血圧を下げるためには、レジスタンス運動はあまり適していないのかもしれません。高血圧ではない人が高血圧を防ぐためなら、レジスタンス運動の効果が期待できるかもしれません。
運動の内容によっても効果の大きさは異なることがこの論文でも議論されていますので、どの程度の運動が良いかは医師に相談することをおすすめします。
執筆者
Impact of resistance training on blood pressure and other cardiovascular risk factors: a meta-analysis of randomized, controlled trials.
Hypertension. 2011 Nov
[PMID: 21896934]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。