関節リウマチの薬がインスリン機能を調節!
ヒドロキシクロロキン(HCQ)は関節リウマチに有効とされる薬ですが、使った人では糖尿病の発症が少なかったという報告があります。今回著者らは、HCQが血糖値やHbA1cを下げる作用に関わると見られる体内の変化を示しました。
◆32人の被験者をHCQ投与・非投与群に分けて調査
著者らは肥満の傾向があるが糖尿病ではない32人を対象に、HCQを投与する群と偽薬を投与する群に分け、HCQの効果を調べました。
◆HCQ投与でインスリン感受性の改善、アディポネクチン量の上昇が起こる
著者らは以下の結果を得ました。
HCQ投与集団に置いて
インスリン 感受性に関する正の変化が見られた(平均 ± 標準誤差: HCQ投与群が+20.0% ± 7.1%に対し、非投与群は-18.4% ± 7.9%、p < 0.01。2群の差は38.3% ± 10.6%、95%信頼区間 17%, 60%)。β細胞機能の改善もHCQ投与群で観察され、非投与群では見られなかったた(平均 ± 標準誤差: HCQ投与群が+45.4% ± 12.3%に対し、非投与群は-19.7% ± 13.6%、p < 0.01。 2群の差は65% ± 19%、95%信頼区間は27%, 103%)。飢餓時血中ブドウ糖 とHbA1cにおいても投与効果がやや見られた(p<0.05)[...]。対照的にアディポネクチンはHCQ投与後増加したが偽薬投与では変化が無かった(平均 ± 標準誤差: HCQ投与群が+18.7%に対し、非投与群は+0.7%、p < 0.001)。
つまり、HCQを使ったグループでは、
著者らは、「糖尿病を
HCQが糖尿病を少なくするのではないか、という説に対して、今回の実験はその作用についての情報を加えました。HCQが糖尿病を防ぐのだとすれば、この実験で見られたように、インスリンを分泌するβ細胞の機能改善やアディポネクチンの量を増やす事が関わっているのかもしれません。HCQを予防薬として使うことで糖尿病の発症を少なくすることができるのか、更なる研究に期待がかかります。
執筆者
Antidiabetogenic effects of hydroxychloroquine on insulin sensitivity and beta cell function: a randomised trial.
Diabetologia. 2015 Jul 22.
[PMID: 26197707] http://link.springer.com/article/10.1007/s00125-015-3689-2
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