変形性膝関節症の新治療を目指して、幹細胞を磁力で誘導する技術

変形性膝関節症の治療として、関節を人工関節に置き換える手術のほかにさまざまな方法が試みられています。広島大学の研究班は、骨髄にある幹細胞を磁力で傷ついた場所に集積させて軟骨を修復させる技術を使い、動物実験で効果を示しました。
◆ミニブタの軟骨を治療
研究班は、ミニブタの膝の膝蓋
◆関節鏡の観察でスコア改善
次の結果が得られました。
治療後6週での
関節鏡 的スコアの平均はM群で10.4±1.10、G群で8.8±0.84、C群で7.4±0.89だった。M群とほかの2群には統計的に有意 な差があった。
m-MCSを磁力で誘導する治療を行ったグループで、治療した軟骨を関節鏡で観察して評価したスコアに改善が見られました。
研究班はこの実験で得られた結果を、「磁気ラベル間葉系幹細胞は軟骨形成分化において有害事象を起こさず、磁場の処置により誘導した磁気ラベル間葉系幹細胞は軟骨欠損を修復した」とまとめています。
広島大学は2015年2月に、実際の患者に対して、磁力で幹細胞を誘導する方法により手術を行ったことを発表しています。非常に患者の数が多く治療が難しい変形性膝関節症の治療に、新しい選択肢が加わるかどうか、今後の進展に期待がかかります。
執筆者
Articular cartilage repair with magnetic mesenchymal stem cells.
Am J Sports Med. 2013 Jun
[PMID: 23605221]
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