2015.07.23 | ニュース

心拍数が少ない人ほど2型糖尿病が少なかった

10件12万人のメタアナリシス
from Nutrition, metabolism, and cardiovascular diseases : NMCD
心拍数が少ない人ほど2型糖尿病が少なかったの写真
(C) Africa Studio - Fotolia.com

2型糖尿病は、しばしば肥満や高血圧とともに発症し、心拍数とも何らかの関係があることが予想されます。これまでの研究論文を検証した結果、心拍数が多いほどその後の2型糖尿病の発症が多くなる傾向が見られました。

◆過去の論文を検証

研究班は、文献検索により、心拍数と2型糖尿病の関連について調べた論文を集め、内容を検証して統計解析を行いました。

 

◆心拍数が多いほど2型糖尿病が多い

次の結果が得られました。

計5,628人を超える症例と119,915人の参加者を対象とした、計10件のコホート研究が採用された。安静時心拍数が低い人に比べて、高い人の要約リスク比は1.83(95%信頼区間1.28-2.60、I(2)=88%、n=7)であり、用量反応分析では10拍/分あたりの要約リスク比が1.20(95%信頼区間1.07-1.34、I(2)=93%、n=9)だった。

集まった10件の研究から得られたデータを解析した結果、運動をしていない安静時の心拍数が多い人ほど2型糖尿病発症が多い傾向が見られました。

 

2型糖尿病は早い時期からの治療が重要と考えられています。心拍数によって正確に予測できれば、より適切な治療に結びつくかもしれません。

なお、この研究は、必ずしも心拍数と2型糖尿病の因果関係を示そうとするものではありません。たとえばスポーツ選手のように体を鍛えた人では心拍数が少ない傾向がありますが、そうした人では2型糖尿病の発症も少ないと予想されます。2型糖尿病になりにくい人の特徴のうち、心拍数が代表的だったと言えるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Resting heart rate and the risk of type 2 diabetes: A systematic review and dose-response meta-analysis of cohort studies.

Nutr Metab Cardiovasc Dis. 2015 Jun

 

[PMID: 25891962]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。