2015.07.24 | ニュース

柑橘類をよく食べる人に悪性黒色腫が多い!?特に関連があったものは?

アメリカ10万人の観察研究

from Journal of clinical oncology : official journal of the American Society of Clinical Oncology

柑橘類をよく食べる人に悪性黒色腫が多い!?特に関連があったものは?の写真

柑橘類に多く含まれるソラレンやフロクマリンという物質には、皮膚が光に反応しやすくなる作用があると言われています。アメリカの大規模調査のデータでは、柑橘類を多く食べる人に、皮膚がんの一種である悪性黒色腫が多い傾向が見られました。

◆アメリカの10万人が対象

研究班は、アメリカで2010年までの期間に行われた大規模追跡調査2件の結果から、計105,432人についてのデータを得ました。そのうちで、柑橘類の摂取と悪性黒色腫(メラノーマ)の発症の関連について、統計解析を行いました。

 

◆グレープフルーツを食べる人で多い

解析から次の結果が得られました。

24年から26年のフォローアップのうちで、1,840例の新規発症悪性黒色腫が記録された。ほかのリスク因子を調整したうえで、悪性黒色腫に対するプールした多変量ハザード比は、柑橘類全体の消費が週あたり2回未満(対照)で1.00、2回から4回で1.10(95%信頼区間0.94-1.30)、5回から6回で1.26(95%信頼区間1.08-1.47)、1日あたり1回から1.5回で1.27(95%信頼区間1.09-1.49)、1日あたり1.6回以上で1.36(95%信頼区間1.14-1.63)だった(P-trend<0.001)。個別の柑橘類生産物のうちでは、グレープフルーツが悪性黒色腫のリスクに対して最も明らかな関連を示し、その関連はほかの生活習慣および食事の要因とは独立だった。

対象者を24年から26年にわたって追跡したデータのうちで、柑橘類を食べる頻度が高い人ほど、悪性黒色腫の発症が多い傾向が見られました。特に、グレープフルーツの消費量と悪性黒色腫の発症率に関連が見られました

 

この研究の方法では、グレープフルーツを多く食べることの背景に未知の要因があり、その未知の要因によって悪性黒色腫が増えていた可能性も完全には否定できません。悪性黒色腫の発症率は人種によって傾向が違うと言われ、アメリカでの研究の結果がそのまま日本人にも当てはまるとは限りません。有色人種を主な対象にした研究から別の情報が得られるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Citrus Consumption and Risk of Cutaneous Malignant Melanoma.

J Clin Oncol. 2015 Jun 29 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26124488]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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