2015.07.31 | コラム

薬を飲んでくれないお子さんに困っている保護者の方へ〔小児科に行く前に〕

「飲めたら飲んでね」という肩の力を抜いた対応がポイント!
薬を飲んでくれないお子さんに困っている保護者の方へ〔小児科に行く前に〕の写真
(C) Tony Northrup - Fotolia.com

お子さんに薬を飲ませるのに苦労するということを保護者の方からよくご相談をうけます。内服薬を飲ませる意味合いをそれぞれに処方された薬で理解し、そして、薬の形態を把握し、どのように薬を使うのが効果的かを保護者の方と一緒に考えることが、お子さんの治療を行う上で重要です。「無理強い」は子どもの拒否反応が強くなるので気を付けましょう。

◆まず、お薬の効果と、必要性を理解しましょう

小児科で処方する、咳を抑える薬、痰を出しやすくする薬、鼻水を抑える薬、腸の働きを整える薬(整腸剤)などは、病気自体をやっつけるお薬ではありません

症状を緩和し、体力の回復を助けるお薬です。このようなお薬は、病気自体の治りを良くするものではないため、内服すると症状がやや和らいで少し楽になるというお薬です。そのため、このようなお薬は、やっきになってお子さんに飲ませる必要はありません

抗生剤に関しては、バイ菌(細菌)をやっつけるために飲むお薬です。これは、医師から指示された飲み方、量、日数をきちんと守って飲む必要があります。それを守らないと十分な効果が発揮できないお薬です。

解熱剤に関しては、以前の記事( http://medley.life/news/item/55aca75b6b4b3a7d01554850 )で詳しく説明しておりますので、そちらをご覧ください。解熱剤も病気自体を治す薬ではないので、熱が高く、ぐったりしている時のみの使用を心がけましょう。熱が高いと、解熱剤を使用しても十分な効果が得られないこともあります。詳しくは前の記事をご覧ください。

このほかにもいろいろな薬がありますので、どのような薬なのか、診察時に十分な説明を受けてください。

 

◆指示された飲み方を守りましょう

小児科では、体重と年齢に合わせた量で処方しています。朝飲ませ忘れたから、昼に2回分まとめて飲ませたり、兄弟間で薬を使い回すというのもやめましょう。過量投与が副作用を引き起こすこともあります。

もともと薬には、薬をつくっている会社が指定した用法、用量などの飲み方があります。医師はそれに従い処方を行っています。これにはとても重要な意味があります。薬の用法、用量は薬の効き方にかかわる重要な要素なのです。1日2回なのか、1日3回なのか、そして、食前、食後、寝る前など飲ませる時間帯も様々です。医師から指示された用法で飲ませないとうまく効果が出ないこともあります。また、用量に関しても注意が必要です。自己判断による薬の使用はやめましょう!

よく前回受診した時の薬を飲ませてからクリニックを受診される方がいらっしゃいますが、処方している薬は、症状や診察所見からその状態に合わせて種類や量を調整していますので、自己判断での内服は避けましょう。

特にお子さんの場合は、なかなか症状を訴えられないため、診察所見からしか判断できないこともたくさんあります。見た目の症状だけからは分からないこともたくさんあります。そして、前回とは全く違った病気であることもあります。しっかりと診察を受けた上での内服を心がけましょう。思いがけない副作用が出てしまったりすることもありますので注意が必要です。

 

◆粉(散剤・ドライシロップ)、シロップ、錠剤、坐薬の利点と欠点

お子さんは日々成長し、体重が増え、身長が伸びていきます。お子さんには、体重や体表面積などから、それぞれの体格に合ったお薬の量を決定し処方しています。薬の量を適切にそして、安全に管理するために、粉薬(散剤とドライシロップ)には次のような利点があります。

  • 粉薬は錠剤に比べ、体重に合わせた量を適切に調節できます。
  • 錠剤は分割することもできますが、正確に1/3にしたり、細かな調整が効きにくく、体格に合った内服薬の調整がしづらいことが挙げられます。
  • シロップは糖分の入った液体であるため、雑菌が繁殖しやすく、保存方法も手間がかかり安全性に関して粉よりもやや劣る傾向にあります。
  • 粉薬は一回分が袋に分けられていますが、シロップはボトルに入っており、一回量を間違ってしまう危険性もあります。
  • 坐薬に関しては、口から水分が取れないときなどはとても有効な形態のお薬です。本人の状態に合わせて解熱剤や吐き気止めなどの坐薬を使用することは症状の緩和に大変有効です。

 

◆お薬の上手な飲ませ方

~粉薬の飲ませ方~

  • 袋から手の上に粉薬を出し、少量の水分を含ませ、小さなお団子を作ります。それを赤ちゃんの口の中の上あごや頬の内側にこすりつけてあげると、ミルクを飲んだりしながら、自分で薬を溶かしながら飲むことができます。
  • 粉薬は、シロップよりも長期保存が可能です。

少し大きくなってきて、粉薬が苦手なお子さんは、薬を飲ませるための市販のゼリーと混ぜたり、はさんだりして飲ませるとスムーズです。薬によっては、他のものと混ぜると苦くなったりするものもあります。ドライシロップは基本的に水に溶かすことでシロップになりますので、粉が苦手な場合には水分に溶かしてから飲ませてあげるのが良いでしょう。

湿気などに弱いので管理には気をつけましょう。また、飲ませるときにジュースなどに混ぜて飲ませることもできますが、事前に溶かしておいて、それを保存することはやめましょう。

また、お湯で溶かすのもやめましょう。成分が変性してしまうことがあります。

~シロップの飲ませ方~

  • 乳児の場合は、市販のスポイト、注射器などで与えてあげるといいでしょう。舌の上に何回かに分けて垂らしてあげましょう。
  • スプーンでの離乳食が摂取できる年齢では、スプーンにシロップを入れ、数回に分けて与えてあげてください。スプーンは少し奥の方まで入れてあげるとスムーズに飲めると思います。

シロップ薬は糖分が多めに入っているため、雑菌も繁殖しやすい状況です。1週間から10日すぎたものは飲ませないようにしましょう。

成分が沈殿しやすいため、均等になるように混ぜてから飲ませましょう。

お子さんの手の届くところに置いておくと、薬を甘い飲み物と勘違いして飲んでしまうこともありますので、管理にも気を付けてください。

~坐薬の使用方法~

  • 包装されているものから取り出し、おうちにあるベビーオイルや食用の油などを少量坐薬につけ、それを潤滑剤としてお尻の穴に入れてあげましょう。

お尻の穴に入れた後1分くらいティッシュなどで押さえてあげておくとよいでしょう。すぐに出てきてしまった場合には再度入れなおしていただいて大丈夫です。10分から15分くらいして便が出た場合にはある程度吸収されていますので、指示された時間をあけてから、症状が持続している場合には再度使用しましょう。

 

◆最後に

今回ご紹介した内容を試しても、どうしても薬を飲んでくれないお子さんもいると思います。そのような場合に多くありがちなのは、何とか薬を飲ませようとして、保護者の方が一生懸命になりすぎて、保護者の方のいら立ちや焦りがお子さんを意固地にさせている可能性もあります

お子さんの病気のほとんどは、薬を使用しなくても治ってしまうことがいいのも事実です。絶対に飲ませなくてはいけない薬なのかを保護者の方がもう一度理解し、もし、絶対に飲ませなければいけない薬ではない場合には、少し肩の力を抜いたスタンスで「飲めたらでいいよ」という対応に変えるだけで、お子さんがすんなり薬を飲んでくれる場合もあります。

子どもも一人の人間ですので、無理やり何かをしなければいけない状況や相手にいら立ちを感じると「拒否」する態度となりがちです。もし自分が子どもだったら?ということを一度考えて接してみてください。

 

【編集部注】

この記事は、「キャップスクリニック」のサイトで公開中の記事をもとに作成しています。

http://www.caps-clinic.jp/forparents

執筆者

白岡 亮平

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。