変形性膝関節症患者の不眠には、認知行動療法が有効
変形性膝関節症の患者の約80%が、不眠症に悩まされているという報告があります。今回の研究は、そのような人に認知行動療法を行うと、行動的脱感作(徐々に睡眠行動を促す療法)と比べて、中途覚醒時間(睡眠後、途中で起きて眠れなくなる時間)の改善に効果があったことを報告しました。
◆認知行動療法群と脱感作療法群にランダムに分類
今回の調査では、変形性膝関節症がある不眠症患者100名を
◆途中で起きて眠れない時間の減少に、認知行動療法が効果的
調査の結果、以下のことが報告されました。
Intent-to-treat解析の結果、両群で実質的な睡眠の改善が示された。
認知行動療法群では、日記と睡眠ポリグラフで測定した中途覚醒時間は
有意 に大きく減少していた。
どちらの治療でも睡眠に改善が見られましたが、認知行動療法群の方が、睡眠時の途中で起きて眠れない時間の減少が大きかったとという結果でした。
筆者らは、「行動的脱感作と比較して、認知行動療法は、睡眠維持不眠が減少するという点で効果的である」と述べています。
変形性膝関節症の患者さんのなかには、寝ている間に膝がうずき、途中で起きてそのまま眠れなくなったことで、翌日の生活に影響したことがある方も多いのではないでしょうか。この研究では、どちらの治療法でも痛みが軽くなったという効果も報告されています。治療が難しい変形性膝関節症とうまく付き合えるように、より効果的に生活を楽にする方法が待たれます。
執筆者
Cognitive-behavioral therapy for insomnia in knee osteoarthritis: a randomized, double-blind, active placebo-controlled clinical trial.
Arthritis Rheumatol. 2015 May
[PMID: 25623343]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。