2015.07.18 | ニュース

変形性膝関節症に多血小板血漿(PRP)の関節内注射は有効か?ヒアルロン酸、偽薬との比較

メタアナリシス3件の比較から
from Arthroscopy : the journal of arthroscopic & related surgery : official publication of the Arthroscopy Association of North America and the International Arthroscopy Association
変形性膝関節症に多血小板血漿(PRP)の関節内注射は有効か?ヒアルロン酸、偽薬との比較の写真
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変形性膝関節症の症状を抑える治療に、多血小板血漿(PRP)の関節内注射が使われています。効果については多くの報告があり、過去の文献を検証した結果、12か月後まで効果が見られ、特に早期の患者に有効だったとまとめる報告が出されました。

◆メタアナリシスを比較検証

研究班は、文献検索により、複数の論文を統合する「メタアナリシス」という種類の研究を集めました。見つかった3件の論文では、変形性膝関節症に対するPRP関節内注射の効果を、ヒアルロン酸関節内注射または偽薬の関節内注射と比較した結果がまとめられていました。

 

◆12か月まで有効、特に早期

見つかった論文から次の結果が得られました。

PRPの使用は注射後6か月での患者の帰結に有意な改善をもたらし、これらの改善は2か月後から始まり12か月後まで続いた。

画像上に関節炎の所見が少ない患者に、PRP治療によるより大きな利益が見られた。複数回のPRP注射は自己限定性局所的有害反応のリスクを増加させるかもしれない。

ヒアルロン酸または偽薬と比べて、PRP関節内注射によって、注射後2か月から12か月の間にかけて効果があり、特に画像検査で関節炎の特徴が少ない場合に効果が大きいと見られました。

研究班は「関節内多血小板血漿注射は早期の膝関節の変性がある患者によりよい症状の改善をもたらし、変形性膝関節症の患者に対しては考慮されるべきである」と結論しています。

 

膝の痛みは日常生活を大きく変えてしまい、ほかの病気のリスクにもつながることがありえます。重症の変形性膝関節症では手術治療もありますが、より軽症の場合に適した治療法を確立するべく、さまざまな試みが行われています。MEDLEYニュースで紹介したものもいくつかありますので、関心のある方はあわせてご覧ください。

変形性膝関節症の新治療になるのか?幹細胞で膝関節の軟骨が再生」

http://medley.life/news/item/559402adabe97cfa00f25173

変形性膝関節症にキネシオテーピング、膝の痛みが軽減 」

http://medley.life/news/item/5594b134abe97c3501f24fd3

変形性膝関節症に対する陸上の運動療法は長期的な効果あり」

http://medley.life/news/item/55522df3a6b1aafe008f88de

変形性膝関節症に対する関節内ステロイド注射に効果なし」

http://medley.life/news/item/5539f1aec05ced4001c99672

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Does Intra-articular Platelet-Rich Plasma Injection Provide Clinically Superior Outcomes Compared With Other Therapies in the Treatment of Knee Osteoarthritis? A Systematic Review of Overlapping Meta-analyses.

Arthroscopy. 2015 May 29 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26033459]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。