2015.07.15 | ニュース

がんが光るスプレー、1mm未満の乳がんを検出

切除標本で「感度92%」
from Scientific reports
がんが光るスプレー、1mm未満の乳がんを検出の写真
(C) KaYann - Fotolia.com

九州大学・東京大学などの研究班が、がん細胞に反応して光る物質をスプレーする技術によって、人間の1mm未満の乳がんを正常な組織と見分けられたことを報告しました。これまでの動物実験に加わった実績をふまえ、臨床試験が目指されています。

この試薬は、がん細胞が多く持っている酵素によって反応を起こし、強い蛍光を発するようになります。蛍光は数分で現れ、手術中に使うことでがんの取り残しを防ぐことが目指されています。

 

◆患者から取り出されたがん組織をサンプルに

研究班は、乳がんの患者から手術で取り出された、がんを含む乳腺の組織をサンプルとして、蛍光試薬により乳がんと正常な乳腺を見分けられるかどうかを調べました。

サンプルに蛍光試薬をスプレーしたのち、蛍光の強さを測定し、そのあと顕微鏡で細胞を観察することで、蛍光試薬ががんを正しく見分けられるかどうかを検証しました。

 

◆感度92%、特異度94%

スプレー散布から5分後の蛍光の強さを基準に正常組織と異常組織を区別する基準値を設定したところ、ある基準値によってサンプルに含まれていた異常組織の92%が基準値以上となり、正常組織の94%は基準値未満となりました。大きさ1mm未満の微小ながんも検出されました。ただし、乳腺症や乳腺過形成など、異常組織であってもがんではないものを、がんと区別することはできませんでした。

研究班は「これらの結果はこの蛍光に基づいた手法が、病理医が病理学的確認を要する腫瘍性ないし増殖性病変の候補を同定するための新しい臨床ツールとして有用であることを支持する」と結論しています。

 

これまでの技術では、手術中に切り取った組織にがんがあるかを見分けるためには専門の医師が顕微鏡で観察する必要があり、方法上の限界から見逃しの可能性があるという意見がありました。より簡単で素早い方法により効率的に診断できるようになれば、手術の結果をよりよくすることにつながるかもしれません。

なおこの研究に関連して、マウスを使って卵巣がん腹壁転移を見分ける研究を以前に紹介しています。関心のある方はあわせてご覧ください。

「1mm未満のがんがスプレーで見えた!」

http://medley.life/news/item/552bd3ddd05b85480132e152

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Rapid intraoperative visualization of breast lesions with γ-glutamyl hydroxymethyl rhodamine green.

Sci Rep. 2015 Jul 13

 

[PMID: 26165706 ]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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