2015.07.14 | ニュース

変形性膝関節症による軟骨のダメージを防げるか?関節離開術と外固定の試み

中国でラットの実験
from Osteoarthritis and cartilage / OARS, Osteoarthritis Research Society
変形性膝関節症による軟骨のダメージを防げるか?関節離開術と外固定の試みの写真
(C) Sebastian Kaulitzki - Fotolia.com

膝の痛みなどを起こす変形性膝関節症は、進行すると人工膝関節全置換術という大がかりな手術が必要になります。症状を抑えるなどの狙いでいくつかの治療法が試されていますが、効果には限界があります。中国の研究班が、関節離開術という手術で関節の中の変形した骨や軟骨がぶつかり合わないようにすることで、関節のダメージがさらに進むのを防ぐことを試み、ラットの実験で骨や軟骨の組織の変化を抑えられたことを報告しました。

◆ラットに変形性膝関節症を起こして治療

研究班は、ラットを使って次の実験を行いました。

ラットの右膝関節に、前十字靭帯トランザクションおよび内側半月板切除によって変形性膝関節症が誘発された。ラットは3グループにランダム化された。2グループは続く3週間に外固定で治療され、うち一方は関節離開を行い、もう一方は関節離開なしとし、残りの1グループは変形性膝関節症の対照として外固定を行わなかった。

ラットの膝を手術して人工的に変形性膝関節症が起こるようにしたうえ、3グループに分けて治療法を変え、その後3週間にわたって治療を行いました。

3グループの治療の内容は

  • 関節離開術+外固定
  • 外固定のみ
  • 治療なし

としました。

 

◆組織の変化が減少

実験から次の結果が得られました。

対照群では変形性膝関節症の特徴が現れたことに対して、関節離開治療を行ったあとでは概して障害が比較的軽かった[...]。

治療しなかった対照群に比べて、関節離開術を行ったグループでは、骨と軟骨の組織に顕微鏡レベルで起こった変化が小さく、炎症にともなって増えるIL-1βという物質が少なくなっていました

研究班はこの結果を「関節離開が二次的炎症のレベルを低下させた」とまとめています。

 

変形性膝関節症は非常に多くの人に起こり、しだいに進行して歩く能力を妨げます。新しい治療法も試されつつあり、関節離開術がさらに確かな効果を示せれば、その候補に加わっていけるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Joint distraction attenuates osteoarthritis by reducing secondary inflammation, cartilage degeneration and subchondral bone aberrant change.

Osteoarthritis Cartilage. 2015 May 29 [Epub ahead of print]

 

[PMID: 26028135]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。