2015.07.01 | ニュース

糖尿病の指標「HbA1c」が低すぎても心血管疾患のリスクが高かった

日本の約3万人を対象とした多目的コホート研究から
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糖尿病の指標「HbA1c」が低すぎても心血管疾患のリスクが高かったの写真
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糖尿病の指標に用いられるヘモグロビンA1c(HbA1c)が高いと、糖尿病に近い状態と考えられています。また、糖尿病は虚血性心疾患などの心血管疾患を増やす要因と考えられています。しかしながら著者らが日本の大規模集団を対象にした研究データを利用して解析を行ったところ、HbA1cがある範囲より低い場合にも、心血管疾患の発症リスクが高くなっていました。

◆日本の多目的コホート研究対象者29,059人を調査

著者らは、日本の多目的研究対象者である10,980人の男性と18,079人の女性(46から80歳)に関し追跡調査を行い、心血管疾患リスクを算出しました。

 

◆HbA1cが5%未満で心血管疾患リスクが1.5倍、6.5%以上では1.77倍

以下の調査結果を得ました。

中央値9.4年の追跡調査期間において、935例の心血管疾患のイベント(770が脳卒中、165例が冠動脈疾患)が生じた。糖尿病を指摘されていない患者でのHbA1cレベルと心血管疾患リスクには非線形の関連が観察された。HbA1cレベルが5.0から5.4%(31 - 36 mmol/mol)の人と比べて、糖尿病発症していない状態での心血管疾患のハザード比は5%未満(<31 mmol/mol)では1.50(95% 信頼区間 1.15から1.95)で、5.5から5.9%(37-41mmol/mol)では1.01(95% 信頼区間 0.85から1.20)、6.0から6.4%(42-47mmol/mol)では1.04(95% 信頼区間 0.82から1.32)、6.5%以上(≥48mmol/mol)では1.77(95% 信頼区間 1.32から2.38)であった(非線形傾向でのP<0.001)。

つまりHbA1cが通常値(5から5.4%)の人と比較して、心血管疾患のリスクは

  • 5%未満では1.5倍
  • 5.5%から5.9%では1.01倍
  • 6.0%から6.4%では1.04倍
  • 6.5%以上では1.77倍

という結果でした。

著者らは「糖尿病を発症していない一般の日本人では、HbA1cが高値でも低値でも、心血管疾患の高リスクと関係があった」と結論づけています。

HbA1cはブドウ糖と結合したヘモグロビンを意味し、高血糖の状態では増えるため、糖尿病の指標として用いられています。糖尿病患者における重症低血糖も心血管リスクを高める事が知られていますが、何故糖尿病が発症していない人においてHbA1c低値が心血管疾患リスクを高めるのか、興味深い結果です。

執筆者

高田

参考文献

Hemoglobin a1c levels and the risk of cardiovascular disease in people without known diabetes: a population-based cohort study in Japan.

Medicine (Baltimore). 2015 May

 

[PMID: 25929925 ] http://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2015/05010/Hemoglobin_A1c_Levels_and_the_Risk_of.33.aspx

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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