新生児黄疸が出た子はADHDが多かった

注意欠如・多動性症候群(ADHD)は、集中が続かない、うろうろ動き回ってしまうなどの症状がある、子どもに多い病気です。原因は不明ですが、どんな場合に発症する確率が高いかが最近研究されています。台湾の子どもを対象にした研究から、生まれたときに「新生児黄疸」があった子どもはその後ADHDを発症する確率が上がっていたことが報告されました。
◆新生児黄疸とは?
◆台湾の子どもの追跡調査
研究班は次のように対象者を選びました。
2000年から2004年にかけて、新生児黄疸があった24,950人の子どもと、マッチングした69,964人の新生児黄疸がなかった子どもを同定した。
新生児黄疸があった子ども24,950人と、比較のため性別や親の職業などが揃うように選んだ子ども69,964人の情報を統計解析しました。
◆新生児黄疸があるとADHDが2.48倍
解析から次の結果が得られました。
研究期間中のADHDの
発症 数は、黄疸がなかった群に比べて黄疸があった群で2.48倍多かった(10万人年あたり3.84例 vs 1.51例)。ADHDを発症するリスクは、血清ビリルビン濃度が高く光線療法が必要だった場合、また入院日数が多いとき高くなっていた。
新生児黄疸があった子どものほうが、なかった子どもよりも2.48倍多くADHDを発症していました。また、光線療法が必要とされた子ども、また入院日数が多かった子どもでADHDが多くなっていました。
研究班はこの結果から「新生児黄疸の診断のあとは神経学的帰結についてのリスクに注意を促すことが強く求められる」と結論しています。
ADHDの原因はわかっておらず、この結果からも新生児黄疸が原因かどうかはわかりません。生まれつきADHDが発症しやすい未知の要因の結果として新生児黄疸が増えていた可能性も考えられます。ADHDと新生児黄疸がどのようなしくみで関係しているのかは、今後の解明が待たれます。
執筆者
Neonatal jaundice and increased risk of attention-deficit hyperactivity disorder: a population-based cohort study.
J Child Psychol Psychiatry. 2015 Apr
[PMID: 25056274]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。