2015.05.22 | ニュース

化学療法を長めに続けると大腸がんの進行が遅くなった

転移のある大腸がん、CAPOX-B後の維持治療で
from Lancet (London, England)
化学療法を長めに続けると大腸がんの進行が遅くなったの写真
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大腸がんが進行してほかの臓器に転移があるとき、治療には抗がん剤による化学療法がよく使われますが、化学療法をいつまで続けるのがよいかはわかっていません。オランダの研究で、化学療法によってある程度の効果が見られたあとに化学療法をやめた場合と、さらに続けた場合が比較され、治療を続けた場合にがんの進行が遅くなり、副作用は少なかったことが報告されました。

◆化学療法で効果があった人をランダム化

この研究は、オランダの64の病院を受診した19歳以上の転移のある大腸がんの患者から対象者を選びました。対象者はカペシタビン、オキサリプラチン、ベバシズマブという3種類の抗がん剤を使う「CAPOX-B」という化学療法を、決まった方法・期間に従って受けた結果、ある水準以上の効果が認められた場合にだけ、次の比較に参加しました。

患者はランダムに、カペシタビンとベバシズマブによる維持治療(維持群)または経過観察(観察群)のどちらかに1:1に割り付けられた。

対象者は前のCAPOX-Bに続けてカペシタビンとベバシズマブの2種類による治療を行うグループ(維持群)と、CAPOX-Bだけで化学療法をやめて経過観察するグループ(観察群)にランダムに振り分けられました。

その後、がんが進行した場合は再びCAPOX-Bの治療を始め、CAPOX-Bを再開したあとでさらにがんが進行するまでの期間を調べました。

カペシタビンとベバシズマブによる治療の効果は、対象者を2群に振り分けてから、がんが進行してCAPOX-Bを再開し、さらに進行があるまでの期間(PFS2)で評価しました。

 

◆がんが進行する時期を遅らせた

試験の結果は以下のようなものでした。

2007年5月30日から2012年10月15日の間に、558人の患者を維持群(279人)または観察群(279人)にランダムに割り付けた。

フォロー期間は中央値48か月(四分位間範囲36か月から57か月)だった。

一次エンドポイントであるPFS2の中央値は維持群の患者で11.7か月と、観察群の8.5か月に比べて有意に改善した。

全体としての生活の質は維持治療中に悪化しておらず、2群で臨床的には差がなかった。

558人の参加者が約4年程度にわたって追跡調査され、維持群ではPFS2が中央値11.7か月、観察群ではPFS2が中央値8.5か月と、維持群のほうががんの進行が遅かったという結果でした。

副作用については、維持群でカペシタビンとベバシズマブを使っている期間と、観察群で経過観察をしている期間を比べたところ、参加者の生活の質には違いがあるとしてもわずかだった、という結果が得られました。

 

この研究の条件では、化学療法を続けたほうがよい結果が出ています。その結果が何を意味するか、たとえばがんの進行を数か月遅らせることによって生活がどの程度楽になるのか、あるいは余命にどんな影響があるのかを明らかにするためには、別の研究が必要でしょう。

がんには多くの種類があり、治療の組み合わせも非常に複雑です。こうした研究の積み重ねによって、より適切な治療が探り当てられていくことに期待がかかります。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Maintenance treatment with capecitabine and bevacizumab in metastatic colorectal cancer (CAIRO3): a phase 3 randomised controlled trial of the Dutch Colorectal Cancer Group.

Lancet. 2015 Apr 7

[PMID: 25862517]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。