2015.05.15 | ニュース

遺伝子変異が分かっても、減量は促せなかった

肥満患者への糖尿病予防の試み
from Journal of general internal medicine
遺伝子変異が分かっても、減量は促せなかったの写真
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肥満は大きな2型糖尿病のリスク要因です。病気になる前に予防するためには、生活習慣の改善が大事です。今回著者らは肥満患者に対し遺伝子検査を行い、その結果を知らせたうえ減量のアドバイスをしましたが、残念なことに従来の生活指導よりも高い効果は挙げられませんでした。

◆肥満の退役軍人を対象にしたカウンセリング


著者らは以下の方法を試みました。

21才から65才までの退役軍人で、糖尿病発症していない過体重または肥満の外来患者に対し、[...]遺伝子検査結果の通知(CR+G; 303人)または目の病気に関するカウンセリング(CR+EYE; 298人)を行った。全ての被験者には、糖尿病のリスクを減らすために減量を促す生活スタイル改善についての簡単なカウンセリングを行った。

このように、糖尿病予備軍の肥満である人が、遺伝子結果を通知した場合と、通常のカウンセリングを行った場合で、その後の生活習慣に違いが出るかどうかを調べました。

 

◆遺伝子検査の結果を通知しても効果はなかった

  平均年齢は54才で53%が黒人、80%が男性であった。通知後3か月、6か月において、2群の間で体重(CR+GとCR+EYEの差が3か月では0.2kg、95%信頼区間-0.3-0.7;6か月では0.4kg、95%信頼区間-0.3-1.1)、インスリン抵抗性、知覚リスク、身体活動には差がなかった。摂取したカロリーと脂肪量はCR+Gにおいて3か月時点で低下が見られた(ともにp≦0.05)が、6か月では差が無かった(ともにp>0.20)。


著者らは結論として、「遺伝子検査の結果を通知することは、糖尿病のリスクを減らすように患者の行動を変えるために、従来のリスクカウンセリングよりも有効とはいえなかった」と述べています。

 

この結果を見ると、遺伝子検査の結果を通知したグループは3か月間カロリーや脂肪の摂取量が低下したから、多少は生活習慣が変わったのでしょう。ですが、残念ながら肥満の改善には至りませんでした。具体的な改善にはさまざまな要因が絡むため、なかなか一筋縄ではいかなそうです。

執筆者

高田

参考文献

Does Type 2 Diabetes Genetic Testing and Counseling Reduce Modifiable Risk Factors? A Randomized Controlled Trial of Veterans.

J Gen Intern Med. 2015 Apr 16. 

[PMID: 25876740] http://link.springer.com/article/10.1007/s11606-015-3315-5

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。