2015.05.10 | ニュース

禁煙が糖尿病を悪化させる?

イギリスで10,692名の分析
from The lancet. Diabetes & endocrinology
禁煙が糖尿病を悪化させる?の写真
(C) takasu - Fotolia.com

2型糖尿病は肥満等によって引き起こされる病気で、飽食化が進む先進国で問題となっています。喫煙も2型糖尿病を引き起こすリスクの1つですが、禁煙後数年間は喫煙を続けている人よりも2型糖尿病のリスクが高いという報告もあります。そこで著者らは、過去の研究よりも大人数を対象とした調査を行い、禁煙後3年間は血糖値が悪化していたが、その間の体重の変化と血糖値には関連がなかったことを報告しました。

◆大規模データベースを用いた統計解析  

著者らはイギリスのデータベースであるThe Health Improvement Network (THIN)を用い、2005年1月から2010年12月までの過去に遡った研究を行いました。禁煙の有無、禁煙期間、血糖値が高い状態が持続していることを示す血液中の「HbA1c」量の変化、体重変化の効果などの相関関係を調査する為に、統計学的手法である重回帰分析を利用しました。

 

◆禁煙後1年以内でHbA1cが増加する

統計解析の結果、次のことがわかりました。

   10,692人の2型糖尿病を持った成人喫煙者のうち3,131人(29%)が最低1年間禁煙した。喫煙以外の要因を調整すると、禁煙後1年間でHbA1cが平均0.21%増加していた。
   HbA1cは禁煙を継続すると減り、3年後は喫煙を続けている人と同じレベルになった。またHbA1c増加は体重変化と無関係だった。

著者らは「2型糖尿病患者の禁煙後3年間は体重増加と無関係に血糖のコントロール悪化と関連していた。人口全体でみるとこの一時的な血糖値の上昇が微小血管合併症を増加させる結果をもたらし得る」と、述べています。

 

これを読むと禁煙したくない糖尿病患者の皆さんが、我が意を得たりと思うかも知れません。ただここでは食生活や運動などのパラメーターが考慮されていないので、単に禁煙だけがHbA1cの増加因子なのか、まだ議論の余地がありそうに思います。それにこの研究でも、禁煙後長期的にはHbA1cが下がっていったことが示されています。バランスの取れた食生活と適度な運動が大事なことはもちろん、禁煙しなくてよいという結論にはつながりにくそうです。
この紹介を書いている自分も糖尿病予備軍で、それほど健康的な生活は出来ていないのですが……。

執筆者

高田

参考文献

The association between smoking cessation and glycaemic control in patients with type 2 diabetes: a THIN database cohort study.

Lancet Diabetes Endocrinol. 2015 Apr 29

[PMID: 25935880] http://www.thelancet.com/journals/landia/article/PIIS2213-8587(15)00082-0/fulltext

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。