2015.05.04 | ニュース

難病、筋ジストロフィーに新薬登場

イデベノンが呼吸機能の悪化を抑制
from Lancet
難病、筋ジストロフィーに新薬登場の写真
(C) Serghei Velusceac - Fotolia.com

デュシェンヌ型筋ジストロフィー (DMD) は、遺伝によって起こり、筋力が低下し重症の場合は呼吸運動ができなくなり死に至ることもある、深刻な病気です。DMDに対する新しい治療として、ベルギーなどの研究班が、イデベノンという薬剤の治療効果を試しました。イデベノンはこれまで脳血流改善薬として使われてきたものですが、この研究で、DMDに対して呼吸機能の悪化を抑える効果が確かめられました。

◆64人をランダム化して呼吸機能を比較

この研究では、10歳から18歳のDMD患者を対象とし、対象者をランダムに、イデベノンで治療されるグループの31人と偽薬を与えられるグループ33人に分けました。治療効果を比較するため、治療開始前から治療開始後52週までのあいだ、呼吸機能の検査値であるピークフロー (PEF) を記録し続けました。評価には、PEFを年齢・性別などから予測される標準的な値との比に換算したPEF%pを使いました。
 

◆呼吸機能の悪化を抑える効果あり

イデベノンのグループと偽薬のグループで、治療開始から52週までのPEF%pの変化に6.27%pの差があり、イデベノンのグループのほうが呼吸機能の悪化が軽くなっていました。イデベノンは呼吸機能のほかの検査値も改善しました。呼吸機能に対するイデベノンの効果は、ステロイド薬を使ったことのある人とない人で同様でした。どちらのグループでも副作用の発生率はおおむね同様で、ともに副作用として鼻咽頭炎、頭痛が最も多く現れ、イデベノンのグループでは下痢が増えていました。

この結果を受けて、製薬会社はイデベノンをDMDの治療薬としてアメリカとヨーロッパで承認申請する準備中です(2015年4月時点)。

 

 

DMDの治療には、ステロイド薬以外に確立されたものが少なく、新しい治療薬の登場は朗報になるかもしれません。1年間で6.27%pの改善という効果をふまえて、イデベノンはDMDの治療にどう影響するでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy of idebenone on respiratory function in patients with Duchenne muscular dystrophy not usingglucocorticoids (DELOS): a double-blind randomised placebo-controlled phase 3 trial.

Lancet. 2015 Apr 20

[PMID: 25907158]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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