2015.05.05 | ニュース

20歳未満で出産すると子どものADHDが増えるのか?

因果関係は認められず、スウェーデンで150万人のデータを解析
from International journal of epidemiology
20歳未満で出産すると子どものADHDが増えるのか?の写真
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低年齢での出産は子どもの注意欠如・多動性障害 (ADHD) と相関があることが知られています。しかし、その相関が低年齢出産とADHDの因果関係を示しているのか、それとも共通の原因があるせいなのかなどはわかっていません。スウェーデンなどの研究班が大規模なデータベースを統計解析し、「低年齢出産でADHDが多いことをほかの要因によって説明できた」という結果を出しました。

◆150万人の子ども、3万人にADHD

研究班は、スウェーデン政府の登録データベースを使って、スウェーデンで1988年から2003年に生まれた1,495,543人(うちADHDがあったのは30,674人)の子どもの情報を統計解析しました。

低年齢出産以外にも遺伝的要因または生活環境の要因があるかどうかを見分けるため、兄弟姉妹の比較、いとこ同士の比較を行いました。兄弟姉妹は遺伝と環境の要因が似ているため、結果に似た傾向があると考えられます。また、いとこ同士は親同士が兄弟姉妹なので、やはり結果が似る傾向があると考えられます。低年齢出産の影響をいとこ同士で比較したときに、関係のない他人との比較と違った傾向があれば、低年齢出産以外に遺伝または環境の要因が働いていると考えられます。

 

◆遺伝が共通の原因

解析の結果、20歳未満で出産した母からは、産まれた子がADHDになるリスクが78%大きくなっていました。いとこ同士で比較すると、全体と比較したときよりも「20歳未満の初産」による影響が小さく、このことから、子のADHDには「20歳未満の初産」以外の要因があると考えられました。統計的モデルを使って解析したところ、初産年齢とADHD相関は、「主に遺伝の要因が共通の原因になっているため」と説明できました。

 

 

ADHDは遺伝による病気ではありませんが、この結果は、「20歳未満の初産」と「子のADHD」の両方の原因になりうる遺伝的要因が存在することを示唆すると同時に、その遺伝的要因がある母は初産年齢にかかわらず子にADHDが多く、遺伝的要因がない母は初産年齢にかかわらず子にADHDが多くない、という可能性を示唆しています。

言い換えれば、ADHDは遺伝が原因ではないものの「遺伝的要因に影響される」、そしてその影響は「20歳未満の初産があってもさらに強くなることはない」という可能性が示されたことになります。

この研究は、具体的にどんな要因が、どんなしくみで結果に影響するかを説明しようとしたものではありません。「遺伝的要因が20歳未満の初産と関連する」という仮説が納得できるものかどうかは読む人の解釈に任せられていますし、うまく解釈できたとしてもその検証には別の研究が必要です。

こうした研究が、さらに新しいアイディアを呼ぶヒントになっていくかもしれません。いつかADHDの原因や発症のしくみが明らかになり、親の心配を減らせるようになることが待ち望まれます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Maternal age at childbirth and risk for ADHD in offspring: a population-based cohort study.

Int J Epidemiol. 2014 Dec

[PMID: 25355726]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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