2015.05.04 | ニュース

アルツハイマー病発症の鍵はアルギニン?

マウスの脳を用いた実験で判明

from The Journal of neuroscience : the official journal of the Society for Neuroscience

アルツハイマー病発症の鍵はアルギニン?の写真

認知症の原因として知られるアルツハイマー病。多くの研究者が発病のしくみを調べていますが、まだ解明には至っていません。アメリカの研究班がマウスを使った実験で、アルツハイマー病の発症に深く関わっていると思われる脳内の現象を発見しました。

◆モデルマウスの脳を観察

研究班はこれまでの研究で、マウスの脳に、人間のアルツハイマー病と同様の特徴的な変化を起こすことに成功していました。この変化にさらされたマウスでは、脳の海馬という部分の細胞の機能がしだいに失われていきます。研究班はこのマウスの海馬を、時間を追って細胞レベルで観察しました。
 

◆アルギニン分解が脳の変化につながる

細胞が死んでいく場所では、免疫を抑制する働きのある細胞が増え、アルギニンというアミノ酸の一種が減っていることがわかりました。薬でアルギニンの分解を抑えたところ、アルツハイマー病のような変化を抑えることができました。

 

アルツハイマー病で起こる脳の変化において、アミノ酸の分解が決定的に重要かもしれないと研究班は述べています。この研究はアルツハイマー病の解明に向けた大きな一歩になるのでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Arginine Deprivation and Immune Suppression in a Mouse Model of Alzheimer's Disease.

J Neurosci. 2015 April 15

[PMID: 25878270]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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