2015.04.24 | ニュース

妊娠中のマクロライド系抗生物質の服用はどのくらい注意すべき?

子供の脳性麻痺・てんかんのリスク増大と関係、専門家からは異論も
from PloS one
妊娠中のマクロライド系抗生物質の服用はどのくらい注意すべき?の写真
(C) japolia - Fotolia.com

妊娠中は免疫力が低下して感染症にかかりやすいため、治療や感染予防のための抗生物質が処方されることがありますが、胎児への影響が懸念されるため、使用できる抗生物質は限られます。これまで、ペニシリン系やマクロライド系の抗生物質は妊娠中に服用しても比較的安全だと言われてきましたが、今回、マクロライド系の抗生物質について、脳性麻痺やてんかんのリスク増加と関連するとの報告がなされ、様々な議論を呼んでいます。

◆英国20万人の妊婦を対象とした大規模コホート研究

イギリスの研究チームが妊娠中の抗生物質処方と子どもの脳性麻痺てんかんとの関連を調査するために約20万人の妊婦を対象とした大規模なコホート研究を行いました。

3月25日付けでPLOS ONEに掲載された論文によると、調査対象となった妊婦のうち約64,000人(33%)が妊娠中に抗生物質を処方され、その後生まれた1,170人(0.6%)の子供に脳性麻痺あるいはてんかんが診断されたということでした。
 

◆ペニシリン系抗生物質の服用よりもリスクが増加したという結果に

詳細な分析の結果、抗生物質の処方と子どもの脳性麻痺てんかんとの間に明確な関連は示されませんでした。しかし、少なくともペニシリン系の抗生物質を服用した例に比べ、マクロライド系の抗生物質の服用が脳性麻痺てんかんのリスク増加と関連していることが明らかになったと報告しています。

これに対し、海外の専門家から、この論文の結果が抗生物質の影響によるものなのか、感染などによって引き起こされるのものなのか判断できない点が問題だとコメントが寄せられています。
(参照URL: http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-study-investigating-antibiotics-prescribed-to-pregnant-women-and-incidence-of-cerebral-palsy-and-epilepsy-in-babies/

また、著者自身が論文で指摘しているように、妊婦がエリスロマイシン(マクロライド系抗生物質)を処方されても、胃腸の副作用が原因で服用を止めてしまうことがあり、そのため感染期間が長期化し、胎児に影響を与えてしまうといった懸念もあります。

 

妊娠中の薬剤の使用は多くの場合で難しい判断が必要ですが、妊娠中の感染症は母体のみならず胎児にも悪影響を及ぼし得ます。様々な議論を呼んでいる今回の研究成果について、医師のみなさんはどのようにお考えでしょうか。

執筆者

sato

参考文献

Meeraus WH.,Association between Antibiotic Prescribing in Pregnancy and Cerebral Palsy or Epilepsy in Children Born at Term: A Cohort Study Using The Health Improvement Network.

PLoS One. 2015 Mar 25

[PMID: 25807115]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。