2015.04.23 | ニュース

ワクチンを続けて打つときは「違う場所に打て」!?

肺炎球菌ワクチンとHibワクチンの効果に変化、乳児509人を研究
from The Lancet. Infectious diseases
ワクチンを続けて打つときは「違う場所に打て」!?の写真
(C) Barabas Attila - Fotolia.com

子どもの予防接種では、何度にもわたってワクチンの注射を打つことになります。イギリスとマルタから集まった研究班が「打つ場所はずっと同じがいいのか、変えたほうがいいのか」に注目し、「場所を変えながら打ったほうが効果が出やすい」という研究結果を発表しました。

◆いつも右足に打つグループと、場所を変えながら打つグループに分ける

研究班は、イギリスとマルタで集めた生後6-12週の健康な乳児509人を2つのグループに分け、生後2か月から12か月の時期にわたって、ジフテリア破傷風百日咳ポリオインフルエンザ桿菌(Hib)混合ワクチンを3回と、肺炎球菌ワクチンを3回接種しました。

一方のグループではいつも右足に注射し、もう一方のグループでは左足・右足・左腕と場所を変えながら注射しました。また、どちらのグループにも生後12か月でHib・C群髄膜炎菌破傷風トキソイド混合ワクチンを左足に注射しました。

 

◆場所を変えながら注射したほうが抗体が多くできた

その後の調査の結果、場所を変えながら注射したグループのほうが、同じ場所に注射したグループよりもある時期にはHibに対する抗体が多く、別の時期には破傷風菌に対する抗体が多くなっていました。

 

注射の中身は同じなのに、打つ場所によって効果が違うという不思議な結果に、研究班も「メカニズムの解明にはさらに研究が必要」と言うにとどめています。予防接種に関わっている医師の方はこの結果をどう解釈されるでしょうか?

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Immunological effect of administration of sequential doses of Haemophilus influenzae type b and pneumococcal conjugate vaccines in the same versus alternating limbs in the routine infant immunisation schedule: an open-label randomised controlled trial.,

Lancet Infect Dis., 2015 Feb

[PMID: 25577661]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。