2015.04.21 | ニュース

遺伝子治療が遺伝性難聴のマウスに効いた!

Gjb2遺伝子を細胞に導入し聴力改善

from Human molecular genetics

遺伝子治療が遺伝性難聴のマウスに効いた!の写真

遺伝子の異常による難聴を持って生まれてくる子どもは1600人に1人と、決してまれではありません。原因になることが最も多いのはGjb2という遺伝子の異常であることがわかっていますが、現在のところ治療法は確立していません。順天堂大学などの研究班は、マウスの実験で遺伝子治療を試し、生まれつきGjb2遺伝子を持たず重い難聴があるマウスの聴力を改善させることに成功しました。

◆ウイルスで遺伝子を運ぶ

Gjb2遺伝子は、細胞と細胞が接着する部分に使われるタンパク質を作ります。Gjb2遺伝子がないマウスでは、音を感じて神経の電気信号に変換する「蝸牛」という器官の細胞が正常に発達しません。

研究班はこのマウスの蝸牛の細胞に、ウイルスを使って正常なGjb2遺伝子を組み込みました。

 

◆聴力改善の効果あり

Gjb2遺伝子を組み込んだマウスは、音に対する反応が改善し、蝸牛の構造にも発達が見られました。

実際に人間に使われるようになった遺伝子治療はまだごくわずかしかありませんが、今後さらに研究が進むことが期待されます。この研究は遺伝性難聴の新しい治療につながっていくのでしょうか? 

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Perinatal Gjb2 gene transfer rescues hearing in a mouse model of hereditary deafness.

Hum Mol Genet. 2015 Mar 23

[PMID: 25801282]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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