処方薬
ガドビスト静注1.0mol/Lシリンジ5mL
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ガドビスト静注1.0mol/Lシリンジ5mLの添付文書

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効果・効能

磁気共鳴コンピューター断層撮影における次記造影:1)脳・脊髄造影、2)躯幹部・四肢造影。

(効能又は効果に関連する注意)

ガドリニウム造影剤を複数回投与した患者において、非造影T1強調MR画像上、小脳歯状核、淡蒼球等に高信号が認められたとの報告や脳の剖検組織からガドリニウムが検出されたとの報告があるので、ガドリニウム造影剤を用いた検査の必要性を慎重に判断すること。

用法・用量

通常、本剤0.1mL/kgを静脈内投与する。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. ショック、アナフィラキシー(いずれも頻度不明):ショック、アナフィラキシー(血圧低下、呼吸困難、意識消失、咽頭浮腫・喉頭浮腫、顔面浮腫、呼吸停止、心停止等)があらわれることがある。また、肺水腫を伴う場合がある〔8.2、9.1.2参照〕。

  2. 1.2. 痙攣発作(頻度不明):痙攣発作(意識消失を伴う場合がある)等を起こすことがあるので、発現した場合はフェノバルビタール等バルビツール酸誘導体又はジアゼパム等を投与すること〔9.1.6参照〕。

  3. 1.3. 腎性全身性線維症(Nephrogenic Systemic Fibrosis、NSF)(頻度不明):外国において、重篤な腎障害のある患者への本剤投与後に、腎性全身性線維症を発現した症例が報告されているので、投与後も観察を十分に行い、皮膚そう痒、皮膚腫脹、皮膚硬化、関節硬直、筋力低下等の異常の発生には十分留意すること〔1.2、9.2.1-9.2.3参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(1%未満)発疹、潮紅、じん麻疹、(頻度不明)血管浮腫、紅斑、そう痒感。
    2. 精神神経系:(1%未満)頭痛、(頻度不明)めまい。
    3. 感覚器:(頻度不明)結膜炎、味覚異常、錯感覚、嗅覚錯誤。
    4. 消化器:(1%未満)嘔気、嘔吐、口内乾燥。
    5. 循環器:(1%未満)血圧上昇、頻脈、(頻度不明)蒼白、チアノーゼ、動悸。
    6. 呼吸器:(頻度不明)気管支痙攣、咳嗽、くしゃみ、呼吸困難。
    7. 自律神経系:(頻度不明)多汗症。
    8. その他:(1%未満)熱感、注射部位反応、(頻度不明)胸痛、倦怠感、冷感。

使用上の注意

(警告)

    1. 本剤を髄腔内に投与すると重篤な副作用を発現するおそれがあるので、髄腔内には投与しないこと〔14.1.1参照〕。
    1. 重篤な腎障害のある患者では、ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の発現のリスクが上昇することが報告されているので、腎障害のある患者又は腎機能低下しているおそれのある患者では、十分留意すること〔9.2.1-9.2.3、11.1.3参照〕。

(禁忌)

本剤の成分又はガドリニウム造影剤に対し過敏症の既往歴のある患者。

(重要な基本的注意)

    1. 本剤の投与にあたっては、気管支喘息等のアレルギー体質等について十分な問診を行うこと〔9.1.2-9.1.5参照〕。
    1. ショック、アナフィラキシー等の重篤な副作用が発現することがあるので、本剤の投与にあたっては、救急処置の準備を行うこと。また、投与開始より1時間~数日後にも遅発性副作用(発熱、発疹、悪心、血圧低下、呼吸困難等)があらわれることがあるので、投与後も患者の状態を十分に観察すること。患者に対して、発熱、発疹、悪心、血圧低下、呼吸困難等の症状があらわれた場合には速やかに主治医等に連絡するよう指導するなど適切な対応をとること〔11.1.1参照〕。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 一般状態の極度に悪い患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  2. 1.2. 気管支喘息の患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(ショック、アナフィラキシーがあらわれることがあり、また、喘息発作を誘発することがある)〔8.1、11.1.1参照〕。

  3. 1.3. アレルギー性鼻炎、発疹、じん麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者〔8.1参照〕。

  4. 1.4. 両親、兄弟に気管支喘息、アレルギー性鼻炎、発疹、じん麻疹等を起こしやすいアレルギー体質を有する患者〔8.1参照〕。

  5. 1.5. 薬物過敏症の既往歴のある患者〔8.1参照〕。

  6. 1.6. 既往歴を含めて、痙攣、てんかん及びその素質のある患者:痙攣があらわれることがある〔11.1.2参照〕。

(腎機能障害患者)

  1. 2.1. 重篤な腎障害のある患者:診断上やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(本剤の主要排泄経路であり、排泄遅延と腎機能を悪化させるおそれがある)〔1.2、11.1.3参照〕。

  2. 2.2. 長期透析が行われている終末期腎障害、eGFRが30mL/min/1.73㎡未満の慢性腎障害(eGFR(estimated glomerular filtration rate):推算糸球体ろ過値)、急性腎障害(重篤な腎障害を除く)の患者:本剤の投与を避け、他の検査法で代替することが望ましい(ガドリニウム造影剤による腎性全身性線維症の発現のリスクが上昇することが報告されている)〔1.2、11.1.3参照〕。

  3. 2.3. 腎障害(重篤な腎障害を除く)のある患者又は腎機能低下(重篤な腎障害を除く)しているおそれのある患者:患者の腎機能を十分に評価した上で慎重に投与すること(排泄が遅延するおそれがある)〔1.2、11.1.3、16.6.1参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、診断上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(ラット及びウサギの胚・胎仔発生に関する試験において、母動物に重度の全身毒性を発現する用量(10mmol/kg)を反復静脈内投与した場合に、ラットでは軽度な胎仔骨変異の増加が、ウサギでは流産及び早産の軽度増加、胎仔に軽度な骨変異の増加が観察された。健康成人での曝露量(Cmax及びAUC)と比較した安全域は、ラットで5.3及び2.6、ウサギで7.1及び7.5であった。また、サルの胚・胎仔発生に関する試験において、2.5mmol/kg(通常臨床用量の25倍)を投与した場合に流産の増加傾向が観察された)。

(授乳婦)

診断上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(動物実験(ラット)で乳汁中に移行することが報告されている)。

(小児等)

2~17歳の患者を対象とした臨床試験では、138例中8例(5.8%)に副作用が認められ、発現した主な副作用は、味覚異常2例(1.4%)、熱感2例(1.4%)であった。また、0~2歳未満の患者を対象とした臨床試験では、44例中1例(2.3%)に嘔吐が認められた(外国人データ)。

(高齢者)

患者の状態を十分に観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している)。

(適用上の注意)

    1. 薬剤投与時の注意
  1. 1.1. 髄腔内投与は行わないこと〔1.1参照〕。

  2. 1.2. 静脈内投与により血管痛、静脈炎があらわれることがある。

  3. 1.3. 誤って血管外に造影剤を漏出させた場合には、発赤、腫脹、水疱、疼痛等があらわれることがあるので、注入時に十分注意すること。

    1. 薬剤投与後の注意

    1回の検査にのみ使用し、余剰の溶液は廃棄すること。

(ガドビスト静注1.0mol/Lシリンジの取扱い方法)

①. 開封部よりシールをはがし、シリンジ本体を取り出す。

・ 破損や液漏れの有無、プランジャーがしっかり装着されているかを確認し、異常が認められた場合には使用しない。

・ 電子レンジ及び湿式・温水中での加温はしない。

②. キャップを添付文書の図の矢印の方向に回転させて取り外す(キャップは、翼状針等を装着する直前まで取り外さない)。

キャップが取り外しづらい場合は、キャップを深めに握って回転させる。

・ キャップを取り外す際、薬液が飛び散る可能性があるので、注意する。

・ 注入口付近が濡れるとルアーロック非対応の翼状針との装着が緩くなる。

③. 注射針、三方活栓等を速やかに装着する。

・ ルアーロック非対応の翼状針を使用する場合、奥までしっかりと装着する。

・ ルアーロック式器具を使用する場合、少し抵抗を感じた時点で締め込みを止める。締め込み過ぎはルアーロックの破損につながるおそれがあるので、注意する。

④. 患者の静脈に針を穿刺し、ガドビスト静注1.0mol/Lシリンジのプランジャーを少し引いて、血液の逆流により注射針が血管内に正しく留置されていることを確認する。

・ 投与前にあらかじめエア抜きをする。

⑤. 注入圧がかかる場合には、シリンジ本体をしっかり保持してプランジャーを押す。

(保管上の注意)

室温保存。