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ハイゼントラ20%皮下注2g/10mL
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効果・効能

1.  無ガンマグロブリン血症又は低ガンマグロブリン血症。
1.  慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)。

(効能又は効果に関連する注意)

〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉「慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の筋力低下の改善」に対して静注用人免疫グロブリン製剤を投与し有効性が認められたものの、症状の再発・再燃を繰り返している患者にのみ投与すること。

用法・用量

〈無又は低ガンマグロブリン血症〉

通常、人免疫グロブリンGとして50~200mg(0.25~1mL)/kg体重を週1回皮下投与する。2週間に1回投与する場合には、1週あたりの用量の2倍量(100~400mg(0.5~2mL)/kg体重)を皮下投与する。なお、患者の状態に応じて、1週もしくは2週あたりの投与量及び投与回数は適宜増減する。

〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制(筋力低下の改善が認められた場合)〉

通常、成人には人免疫グロブリンGとして1週あたり200mg(1mL)/kg体重を1日又は連続する2日で分割して皮下投与するが、患者の状態に応じて、最大400mg(2mL)/kg体重から投与を開始することもできる。なお、維持用量は200~400mg/kg体重で適宜増減する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈効能共通〉皮下注射にのみ使用すること。静脈内に投与してはならない。
    1. 〈効能共通〉本剤の投与開始にあたっては、医療施設において、必ず医師によるか、医師の直接の監督のもとで投与を行うこと。本剤による治療開始後、医師により適用が妥当と判断された患者については、自己投与も可能である〔8.4参照〕。
    1. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉静注用人免疫グロブリン製剤から本剤に切り換える患者において、本剤の1週あたりの投与量は、静注用人免疫グロブリン製剤を3週間間隔で投与していた場合はその1/3量、また、4週間間隔で投与していた場合はその1/4量から開始し、初回投与は静注用人免疫グロブリン製剤の最終投与1週間後に投与すること(2週間に1回投与する場合には1週あたりの2倍量とし、初回投与以降の本剤の投与量は、感染頻度や重症度など本剤による治療の臨床反応及び血清IgG濃度を参考に調節すること)。
    1. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉人免疫グロブリン製剤による治療歴のない患者を対象とした本剤の臨床試験は実施されていない。無ガンマグロブリン血症で人免疫グロブリン製剤による治療歴のない又は低ガンマグロブリン血症で人免疫グロブリン製剤による治療歴のない患者に対して本剤による導入を行う場合は、感染頻度や重症度など本剤による治療の臨床反応と血清IgG濃度を参考に、投与量を慎重に調節し、また、1週もしくは2週あたりの投与量を数日に分割して投与するなど、投与間隔の調節も考慮すること。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉静注用人免疫グロブリン製剤から本剤に切り換える患者において、本剤の1週あたりの投与量は、静注用人免疫グロブリン製剤の投与量を考慮し、投与終了1週間後から開始すること。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉200mg(1mL)/kg体重で投与を開始し、臨床症状が悪化した場合、最大用量まで増量すること(推奨の最大用量は1週あたり400mg(2mL)/kg体重である)。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉400mg(2mL)/kg体重で投与を開始し、投与量の減量後に臨床症状が悪化した場合、減量前の投与量で治療を再開すること。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉最大用量で臨床症状の悪化が持続する場合、最大用量で本剤の投与を継続し、少なくとも4週間は経過観察を行った後、本剤の投与を中止し、静注用人免疫グロブリン製剤による治療を再開すること。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. アナフィラキシー反応(頻度不明):びまん性紅斑を伴う全身潮紅、胸部不快感、頻脈、低血圧、喘鳴、喘息、呼吸困難、チアノーゼ等異常が認められた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  2. 1.2. 無菌性髄膜炎症候群(頻度不明):無菌性髄膜炎(項部硬直、頭痛、発熱、羞明、悪心、嘔吐等)があらわれることがあるので、このような場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  3. 1.3. 血栓塞栓症(頻度不明):脳梗塞、心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症等があらわれることがあるので、中枢神経症状(めまい、意識障害、四肢麻痺等)、胸痛、突然の呼吸困難、息切れ、下肢疼痛・下肢浮腫等の症状が認められた場合には、投与を中止し、適切な処置を行うこと〔9.1.3、9.8高齢者の項参照〕。

  4. 1.4. 肝機能障害、黄疸(頻度不明):著しいAST上昇、著しいALT上昇、著しいAl-P上昇、著しいγ-GTP上昇、著しいLDH上昇等を伴う肝機能障害、黄疸があらわれることがある。

  5. 1.5. 急性腎障害(頻度不明):投与に先立って患者が脱水状態にないことを確認するとともに、腎機能検査値悪化(BUN値悪化、血清クレアチニン値悪化等)、尿量減少が認められた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

  6. 1.6. 血小板減少(頻度不明)。

  7. 1.7. 肺水腫(頻度不明):呼吸困難等の症状があらわれた場合には投与を中止し、適切な処置を行うこと。

    1. その他の副作用
    1. 血液及びリンパ系障害:(頻度不明*)溶血。
    2. 感染症及び寄生虫症:(頻度不明*)上咽頭炎。
    3. 免疫系障害:(頻度不明*)過敏症。
    4. 神経系障害:(1%以上)頭痛、(1%未満)浮動性めまい、片頭痛、(頻度不明*)振戦、精神運動亢進、灼熱感。
    5. 心臓障害:(頻度不明*)頻脈。
    6. 血管障害:(1%以上)高血圧、(1%未満)潮紅、(頻度不明*)低血圧。
    7. 胃腸障害:(1%未満)悪心、腹部硬直、(頻度不明*)腹痛、下痢、嘔吐。
    8. 皮膚及び皮下組織障害:(1%以上)発疹、皮膚そう痒症、(1%未満)皮膚不快感、(頻度不明*)じん麻疹。
    9. 筋骨格系及び結合組織障害:(1%以上)筋骨格痛、(1%未満)関節痛、筋痙縮、(頻度不明*)筋力低下。
    10. 全身障害:(1%以上)疲労、(1%未満)発熱、倦怠感、圧痛、(頻度不明*)悪寒、インフルエンザ様疾患、胸痛、疼痛、低体温。
    11. 注射部位反応:(1%以上)腫脹、紅斑、疼痛、そう痒症、硬結、刺激感、温感、内出血、(1%未満)出血、不快感、炎症、発疹、腫瘤、(頻度不明*)潰瘍。
    12. 臨床検査:(1%未満)血中クレアチニン増加。

      *)頻度不明は市販後の報告及び17項の試験以外の臨床試験に基づく。

使用上の注意

(注意)

本剤は、貴重なヒト血液を原料として製剤化したものである。原料となった血液を採取する際には、問診、感染症関連の検査を実施するとともに、製造工程における一定の不活化・除去処理などを実施し、感染症に対する安全対策を講じているが、ヒト血液を原料としていることによる感染症伝播のリスクを完全に排除することはできないため、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

(禁忌)

    1. 本剤の成分に対しショックの既往歴のある患者。
    1. 高プロリン血症1型又は高プロリン血症2型の患者[本剤に含有されるプロリンが通常の代謝経路では代謝されないため、血中プロリン濃度が高値になり、症状があらわれることがある]。

(重要な基本的注意)

    1. 〈効能共通〉本剤の使用にあたっては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造に際し感染症の伝播を防止するための安全対策が講じられているが、血液を原材料としていることに由来する感染症伝播のリスクを完全に排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
    1. 〈効能共通〉本剤の原材料となる血漿については、HBs抗原、抗HCV抗体、抗HIV-1抗体及び抗HIV-2抗体が陰性であることを確認している。さらに、プールした試験血漿については、HIV-1、HBV、HCV及びHAVについて核酸増幅検査(NAT)を実施し、適合した血漿を本剤の製造に使用しているが、当該NATの検出限界以下のウイルスが混入している可能性が常に存在する。また、ヒトパルボウイルスB19についてもNATによるスクリーニングを実施し、適合した血漿を用いている。

    その後の製造工程であるデプスフィルトレーション、pH4処理及びナノフィルトレーションは、HIV、HBV、HCV等のエンベロープを有するウイルス及びエンベロープを有しないHAV、ヒトパルボウイルスB19をはじめとする各種ウイルス除去・不活化効果が確認されているが、投与に際しては、次の点に十分に注意すること。

    血漿分画製剤の現在の製造工程では、ヒトパルボウイルスB19等のウイルスを完全に不活化・除去することが困難であるため、本剤の投与によりその感染の可能性を否定できないので、投与後の経過を十分に観察すること〔9.1.4、9.1.5、9.5妊婦の項参照〕。

    1. 〈効能共通〉現在までに本剤の投与により変異型クロイツフェルト・ヤコブ病(vCJD)等が伝播したとの報告はない。しかしながら、製造工程において異常プリオンを低減し得るとの報告があるものの、理論的なvCJD等の伝播のリスクを完全には排除できないので、投与の際には患者への説明を十分行い、治療上の必要性を十分検討の上投与すること。
    1. 〈効能共通〉在宅自己注射を行う場合、患者に投与方法及び製剤と医療機器の安全な廃棄方法の指導を行うこと〔7.2参照〕。
  1. 4.1. 〈効能共通〉自己投与の適用については、医師がその妥当性を慎重に検討し、十分な教育訓練を実施したのち、患者又は介護者が本剤投与による危険性と対処法について理解し、確実に投与できることを確認した上で、医師の管理指導のもとで実施すること。自己投与適用後、本剤による副作用が疑われる場合や自己投与の継続が困難な状況となる可能性がある場合には、直ちに自己投与を中止させるなど、適切な処置を行うこと。

  2. 4.2. 〈効能共通〉在宅自己注射を行う場合、医療機器を再使用しないように患者に注意を促すこと。

  3. 4.3. 〈効能共通〉在宅自己注射を行う場合、製剤及び医療機器の安全な廃棄方法について指導を徹底し、同時に、使用済みの製剤及び医療機器を廃棄する容器を提供することが望ましい。

    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉本剤による慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の治療は原因療法ではなく対症療法であることに留意すること。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉臨床症状の観察を十分に行い定期的に継続投与の必要性を確認すること(また、継続投与の結果十分な効果が認められず、運動機能低下の再発・再燃等を繰り返す場合には、本剤の継続投与は行わず、他の治療法を考慮すること)。
    1. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制で本剤を継続投与した結果、運動機能低下の再発・再燃が認められなくなった場合には、本剤の減量又は投与中止を考慮すること。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。

  2. 1.2. IgA欠損症の患者:抗IgA抗体を保有する患者では過敏反応を起こすおそれがある。

  3. 1.3. 血栓塞栓症の危険性の高い患者:人免疫グロブリン製剤を使用した患者で血栓塞栓症の報告がある〔9.8高齢者の項、11.1.3参照〕。

  4. 1.4. 溶血性貧血・失血性貧血の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、発熱と急激な貧血を伴う重篤な全身症状を起こすことがある)〔8.2参照〕。

  5. 1.5. 免疫不全患者・免疫抑制状態の患者:ヒトパルボウイルスB19の感染を起こす可能性を否定できない(感染した場合には、持続性貧血を起こすことがある)〔8.2参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること(本剤の投与によりヒトパルボウイルスB19の感染の可能性を否定できない(感染した場合には胎児への障害(流産、胎児水腫、胎児死亡)が起こる可能性がある))〔8.2参照〕。

(小児等)

  1. 7.1. 〈無又は低ガンマグロブリン血症〉低出生体重児、新生児を対象とした臨床試験は実施していない。

  2. 7.2. 〈慢性炎症性脱髄性多発根神経炎の運動機能低下の進行抑制〉18歳未満の患者は臨床試験では除外されている。

(高齢者)

患者の状態を観察しながら慎重に投与すること(一般に生理機能が低下している、また、一般に脳・心臓血管障害又はその既往歴のある患者がみられ、血栓塞栓症を起こすおそれがある)〔9.1.3、11.1.3参照〕。

(相互作用)

    1. 併用注意

    非経口用生ワクチン(麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチン、風疹ワクチン、麻疹・おたふくかぜ・風疹の混合ワクチン、水痘ワクチン等)[本剤の投与を受けた者は、生ワクチンの効果が得られないおそれがあるので、生ワクチンの接種は本剤投与後3ヵ月以上延期すること(また、生ワクチン接種後14日以内に本剤を投与した場合は、投与後3ヵ月以上経過した後に生ワクチンを再接種することが望ましい)、なお、慢性炎症性脱髄性多発根神経炎に対する大量療法(200mg/kg体重以上)後に生ワクチンを接種する場合は、原則として生ワクチンの接種を6ヵ月以上(麻疹感染の危険性が低い場合の麻疹ワクチン接種は11ヵ月以上)延期すること(本剤の主成分は免疫抗体であるため、中和反応により生ワクチンの効果が減弱されるおそれがある)]。

(臨床検査結果に及ぼす影響)

本剤には供血者由来の各種抗体(各種感染症の病原体又はその産生物質に対する免疫抗体、自己抗体等)が含まれているため、投与後の血中にこれらの抗体が一時検出されることがあるので、臨床診断には注意を要する。また、供血者由来の赤血球型抗原に対する抗体(抗A、抗B及び抗D抗体)により、赤血球型同種抗体の血清学的検査(クームス試験)に干渉することがある。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 使用前に室温に戻し、室温に戻した後は、再び冷蔵庫に戻さないこと。

  2. 1.2. 他の製剤との混注は避けること。

  3. 1.3. 本剤は開封後できるだけ速やかに使用すること。また、使用後の残液は、細菌汚染のおそれがあるので再使用しない(本剤は細菌の増殖に好適な蛋白であり、保存剤を含有していない)。

    1. 薬剤投与時の注意
  4. 2.1. 不溶物又は混濁が認められるものは使用しないこと。

  5. 2.2. 本剤は腹部・大腿部・上腕部・腰部側面等に皮下投与すること。投与量に応じて複数箇所からの投与を検討し、投与部位は少なくとも5cm離すこと。

  6. 2.3. 通常、投与速度の調節可能な注射器具(シリンジポンプ等)を用いて投与すること。

  7. 2.4. 投与速度 1. 部位あたりの投与量は、初回投与では20mL以下とし、以降の投与では患者の状態に応じて最大50mLまで増量することができる。投与速度は、初回投与では部位あたり20mL/時間以下とし、患者の状態に応じて最大50mL/時間まで徐々に増加することができる。 1. 注射部位反応が報告されているので、推奨投与速度を守り、投与毎に投与部位を変えること。

    1. 薬剤交付時の注意
  8. 3.1. 最終有効年月日まで凍結を避けて冷蔵庫内で保存すること。

  9. 3.2. 光の影響を防ぐために、薬剤バイアルは外箱に入れた状態で保存すること。

(取扱い上の注意)

    1. 外箱開封後は遮光して保存すること。
    1. 本剤は特定生物由来製品に該当することから本剤を投与又は処方した場合は医薬品名(販売名)、製造番号(ロット番号)、投与又は処方日、投与又は処方を受けた患者の氏名、住所等を記録し使用日から少なくとも20年間保存すること。

(献血又は非献血の区別の考え方)

献血又は非献血の区別は製剤の安全性の優劣を示すものではない。この表示区別は、次記の手順に従って決められている。 1. 採血国の政府が「自発的な無償供血」の定義を定めている→その定義が1991年国際赤十字・赤新月社決議と同じ趣旨→当該国の「自発的な無償供血」の定義にそって採血されたことが確認できる:「献血」の表示。 1. 採血国の政府が「自発的な無償供血」の定義を定めていない:「非献血」の表示。 1. 採血国の政府が「自発的な無償供血」の定義を定めている→その定義が1991年国際赤十字・赤新月社決議と趣旨が異なる:「非献血」の表示。 1. 採血国の政府が「自発的な無償供血」の定義を定めている→その定義が1991年国際赤十字・赤新月社決議と同じ趣旨→当該国の「自発的な無償供血」の定義にそって採血されたことが確認できない:「非献血」の表示。

(保管上の注意)

凍結を避けて2~25℃で保存。