処方薬
ノボセブンHI静注用5mgシリンジ

ノボセブンHI静注用5mgシリンジの添付文書

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効果・効能

1.  血液凝固第8因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病又は血液凝固第9因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者の出血抑制。
1.  後天性血友病患者の出血抑制。
1.  先天性第7因子欠乏症患者における出血傾向の抑制。
1.  血小板に対する同種抗体を保有し、血小板輸血不応状態が過去又は現在みられるグランツマン血小板無力症患者の出血傾向の抑制。

(効能又は効果に関連する注意)

〈グランツマン血小板無力症〉血小板に対する同種抗体は、抗血小板抗体検査等により確認すること。

用法・用量

本剤は製剤に添付された専用溶解用液を全量用いて溶解し、2~5分かけて静脈内に注射する。 1. 血液凝固第8因子又は第9因子に対するインヒビターを保有する先天性血友病患者の出血抑制:初回投与量は90μg/kg(4.5KIU/kg)とする。その後は1回投与量として60~120μg/kg(3~6KIU/kg)を、出血の種類及び程度に応じて適宜増減する。初期は、止血が得られ、臨床的改善が観察されるまで、2~3時間ごとに投与する。その後も治療が必要と判断される期間は、投与間隔を適宜延長する。

    なお、軽度から中等度の出血に対しては270μg/kg(13.5KIU/kg)を単回投与することができる。
1.  **後天性血友病患者の出血抑制**:初回投与量は90μg/kg(4.5KIU/kg)とする。その後は1回投与量として60~120μg/kg(3~6KIU/kg)を、出血の種類及び程度に応じて適宜増減する。初期は、止血が得られ、臨床的改善が観察されるまで、2~3時間ごとに投与する。その後も治療が必要と判断される期間は、投与間隔を適宜延長する。
1.  **先天性第7因子欠乏症患者における出血傾向の抑制**:15~30μg/kg(0.75~1.5KIU/kg)を止血が得られるまで4~6時間ごとに投与する。出血の種類及び程度に応じて投与量は適宜増減できる。また、投与間隔も適宜調整できる。
1.  **血小板に対する同種抗体を保有し、血小板輸血不応状態が過去又は現在みられるグランツマン血小板無力症患者の出血傾向の抑制**:80~120μg/kg(4.0~6.0KIU/kg)を止血が得られ、臨床的改善が観察されるまで、1.5~2.5時間ごとに投与する。

(用法及び用量に関連する注意)

    1. 〈インヒビターを保有する先天性血友病〉270μg/kg(13.5KIU/kg)単回投与後も治療が必要と判断される場合は、本剤の追加投与の使用経験は限られているため、慎重に投与すること。
    1. 〈インヒビターを保有する先天性血友病〉本剤の投与に際しては、国内外の最新のガイドラインも参照すること。
    1. 〈グランツマン血小板無力症〉血小板輸血不応状態ではない患者の場合、グランツマン血小板無力症の第一選択療法は血小板輸血である。

副作用

次の副作用があらわれることがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には投与を中止するなど適切な処置を行うこと。

    1. 重大な副作用
  1. 1.1. 血栓塞栓症(頻度不明):動脈血栓塞栓症(心筋梗塞、脳梗塞、腸管虚血等)、静脈血栓塞栓症(肺塞栓症、血栓性静脈炎、深部静脈血栓症等)が起こることがある〔8.9、9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、9.8.1参照〕。

  2. 1.2. DIC(頻度不明):血小板数減少及びフィブリノゲン値減少並びにFDP増加、D-ダイマー増加等の凝固系検査異常が認められた場合には適切な処置を行うこと〔9.1.1、9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、9.8.1参照〕。

    1. その他の副作用
    1. 過敏症:(頻度不明)アレルギー反応、発疹、そう痒感。
    2. 心血管系:(頻度不明)血圧変動。
    3. 消化器:(頻度不明)嘔吐。
    4. その他:(頻度不明)頭痛、発熱、疼痛、浮腫、プロトロンビン時間短縮。

使用上の注意

(注意)

本剤の製造工程においてはウイルスの不活化及び除去を目的とした精製を施す等、感染症に対する安全対策を講じているが、製造工程中にBHK細胞株(仔ハムスター腎細胞由来)等の動物由来の原料を使用しており、本剤は血液製剤と代替性がある医薬品(血液製剤代替医薬品)であるため、血友病、先天性第7因子欠乏症及びグランツマン血小板無力症の治療においては血液製剤と同様に、疾病の治療上の必要性を十分に検討の上、必要最小限の使用にとどめること。

(重要な基本的注意)

    1. 〈効能共通〉本剤の血友病、先天性第7因子欠乏症及びグランツマン血小板無力症患者への使用に際しては、疾病の治療における本剤の必要性とともに、本剤の製造工程において感染症を防止するための安全対策が講じられていること、動物由来の原料を製造工程に使用していることから感染症伝播の危険性を完全には排除することができないことを患者に対して説明し、理解を得るよう努めること。
    1. 〈効能共通〉本剤と他の血液凝固因子製剤を併用する場合は、血栓形成等の相互作用が生じる可能性を否定できないため、治療上の有益性と危険性を十分に考慮すること。
    1. 〈インヒビターを有する先天性血友病、後天性血友病〉在宅治療は、軽度~中等度の出血の場合に可能であるが、患者が定期的に診察を受けている医師と密接な関係が得られている場合のみ行うこと。
    1. 〈インヒビターを有する先天性血友病、後天性血友病〉インヒビターを有する先天性血友病、後天性血友病の場合、在宅治療は24時間以上は行わないこと。インヒビターを有する先天性血友病、後天性血友病で、出血が制御されなかった場合は、医師の治療を受けること。
    1. 〈インヒビターを有する先天性血友病、後天性血友病〉手術時における本剤の有効性は、国内では証明されていない。
    1. 〈先天性第7因子欠乏症患者〉本剤の投与は先天性第7因子欠乏症に関する十分な知識を有する医師のもとで行うこと。
    1. 〈先天性第7因子欠乏症患者〉原則として本剤の投与前と投与後にプロトロンビン時間を測定すること(また、第7因子凝固活性も測定することが望ましい)。
    1. 〈先天性第7因子欠乏症患者〉外国において、本剤を投与した第7因子欠乏症患者に第7因子に対する抗体産生やインヒビター産生したとの報告がある(本剤を投与してもプロトロンビン時間の短縮がみられない及び第7因子凝固活性の上昇がみられない場合、あるいは十分な止血効果が得られない場合には第7因子に対するインヒビターの検査を行うなど注意深く対応し、適切な処置を行うこと)。
    1. 〈先天性第7因子欠乏症患者〉本剤投与により血栓症が起こることがあるため、血栓症のリスクがある患者には注意して投与すること。また、先天性第7因子欠乏症患者の場合、本剤を追加投与する際には、プロトロンビン時間の測定結果などを踏まえ、慎重に対応すること〔9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、9.8.1、11.1.1参照〕。
    1. 〈グランツマン血小板無力症〉本剤の投与はグランツマン血小板無力症に関する十分な知識を有する医師のもとで行うこと。

(特定の背景を有する患者に関する注意)

(合併症・既往歴等のある患者)

  1. 1.1. 敗血症(特に、重度のグラム陰性菌感染に伴う敗血症)患者:治療上、やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと(エンドトキシン血症に伴う播種性血管内凝固(DIC)誘発の危険性を否定できない)〔9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、9.8.1、11.1.2参照〕。

  2. 1.2. 大手術後、挫滅創、DIC、進行性アテローム硬化症のある患者、冠動脈疾患の既往歴のある患者:本剤の投与にあたっては治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与により過剰な凝固系活性化又は血栓を示す徴候・症状があらわれた場合には注意深く観察を行い、適切な処置を行うこと(これらの患者では組織因子が循環血中に正常とされる範囲を超えて発現していること、あるいは凝固障害が発現しやすくなっていることから、血栓形成あるいはDIC誘発及びDIC悪化の危険性が高くなっている可能性がある)〔8.9、9.1.1、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、9.8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。

  3. 1.3. 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者:治療上、やむを得ないと判断される場合を除き、投与しないこと。

  4. 1.4. マウスたん白質に対する過敏症、ハムスターたん白質に対する過敏症又はウシたん白質に対する過敏症があると思われる患者。

(肝機能障害患者)

肝機能障害患者:本剤の投与にあたっては治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与により過剰な凝固系活性化又は血栓を示す徴候・症状があらわれた場合には注意深く観察を行い、適切な処置を行うこと(凝固障害が発現しやすくなっていることから、血栓形成あるいはDIC誘発及びDIC悪化の危険性が高くなっている可能性がある)〔8.9、9.1.1、9.1.2、9.7.1、9.8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。

(妊婦)

妊婦又は妊娠している可能性のある女性には治療上の有益性が危険性を上回る場合にのみ投与すること。

(授乳婦)

治療上の有益性及び母乳栄養の有益性を考慮し、授乳の継続又は中止を検討すること(母乳への移行等のデータがない)。

(小児等)

  1. 7.1. 新生児:本剤の投与にあたっては治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与により過剰な凝固系活性化又は血栓を示す徴候・症状があらわれた場合には注意深く観察を行い、適切な処置を行うこと(凝固障害が発現しやすくなっていることから、血栓形成あるいはDIC誘発及びDIC悪化の危険性が高くなっている可能性がある)〔8.9、9.1.1、9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.8.1、11.1.1、11.1.2参照〕。

(高齢者)

  1. 8.1. 本剤の投与にあたっては治療上の有益性と危険性を十分に考慮し、本剤の投与により過剰な凝固系活性化又は血栓を示す徴候・症状があらわれた場合には注意深く観察を行い、適切な処置を行うこと(凝固障害が発現しやすくなっていることから、血栓形成あるいはDIC誘発及びDIC悪化の危険性が高くなっている可能性がある)〔8.9、9.1.1、9.1.2、9.3肝機能障害患者の項、9.7.1、11.1.1、11.1.2参照〕。

  2. 8.2. 高齢者への270μg/kg単回投与における使用経験はない。

(相互作用)

    1. 併用注意

    抗線溶剤(トラネキサム酸、アミノカプロン酸等)[口腔等、線溶系活性が強い部位での手術に併用するような場合、凝固系がより亢進されるおそれがある(抗線溶剤はプラスミンによるフィブリン分解の阻害等、線溶系の活性を阻害することにより止血作用を発現し、一方、本剤は外因系の凝固能を活性化させる)]。

(過量投与)

本剤を過量投与した場合に血栓形成のおそれがある。

(適用上の注意)

    1. 薬剤調製時の注意
  1. 1.1. 用時、添付の専用溶解用液の全量をバイアルに加えた後、静かに円を描くように回して溶解する(激しく振とうしない)。

  2. 1.2. 溶解後は、直ちに使用すること。

  3. 1.3. 溶解後、25℃以下で保存し、6時間以内に使用する、あるいは速やかに冷蔵庫に入れ、凍結を避け保存し、24時間以内に使用する(溶解後、凍結した場合は使用しない)。

  4. 1.4. 細菌感染を防ぐため、溶解した液はバイアル中にて保存すること。

    1. 薬剤投与時の注意
  5. 2.1. 他の製剤との混注、あるいは点滴投与はしないこと。

  6. 2.2. 溶解後、完全に溶けなかったり液が無色澄明にならない場合は使用しないこと。

(その他の注意)

    1. 臨床使用に基づく情報

    〈グランツマン血小板無力症〉本剤を持続注入した症例で、血栓症(肺塞栓を伴う深部静脈血栓症及び尿管内血栓)が報告されていることから、持続注入による投与は行わないこと。

    1. 非臨床試験に基づく情報

    カニクイザルの心血管系モデルを用いた試験において、遺伝子組換え活性型血液凝固第7因子と遺伝子組換え血液凝固第13因子を併用投与した場合、それぞれを単独で投与したときよりも低用量で過度の薬理作用による血栓及び死亡が認められた。本剤と遺伝子組換え血液凝固第13因子製剤は併用しないこと。

(取扱い上の注意)

本剤は特定生物由来製品でないが血液製剤代替医薬品のため、血友病・先天性第7因子欠乏症・グランツマン血小板無力症に投与(処方)した場合、医薬品名、製造番号、投与(処方)日、患者名、住所等を少なくとも20年保存すること。

(保管上の注意)

凍結を避け、室温(1~30℃)で保存。